1. はじめに
キョウヒョウ8-80をフォア面に貼り、実際に3回の練習で使用してみました。
実は私は、以前「アポロ5(YINHE)」という中国製の強粘着ラバーを数年間使用していました。とにかく飛ばない一方で、非常に高い回転性能を持つ個性的なラバーで、中国製粘着ラバーならではの魅力を存分に味わった経験があります。
その後は、守備型選手(特に対カットマン)との対戦で攻撃力を高めたいと考え、グレイザー09Cやディグニクス09Cといった粘着性ハイテンションラバーを使用してきました。
ただ、中国製粘着ラバー特有の「癖のあるボールで相手を翻弄する感覚」は、ずっと心に残っていました。スピードだけで押し切るのではなく、回転量や変化で相手のミスを誘い、試合を組み立てるプレースタイルをもう一度試してみたかったのです。
そこで今回、中国製粘着ラバーの代名詞ともいえるキョウヒョウシリーズの中でも、弾みを強化した「キョウヒョウ8-80」をフォア面で使用し、その実力を検証してみることにしました。
本記事では、実際に使用して感じた率直な感想を紹介します。
2. 今回のセッティング
今回のレビューで使用した用具のセッティングは以下のとおりです。
- ラケット:ガレイディア リボルバー(バタフライ・反転式ペン)
- フォア面:キョウヒョウ8-80(DHS) 特厚
- バック面:キョウヒョウ8-80 パワー(DHS) 特厚
- 総重量:152g
- 戦型:裏面打法を多用する攻撃型の中国式ペンホルダー

今回はフォア面に貼った「キョウヒョウ8-80」の使用感を中心にレビューします。バック面の「キョウヒョウ8-80 パワー」については、別の記事で詳しく紹介する予定です。
また、今回の用具のセッティング模様について動画も公開していますので、興味のある方は、記事の最後で紹介している動画もぜひご覧ください。
3. 各技術の印象

(1) ツッツキ
今回使用して最も好印象だったのがツッツキです。
ラバー表面の粘着力が強く、ラバー自体もあまり飛ばないため、思い切って切ることができ、鋭くスピードのあるツッツキを安定して出せました。
その一方で、短いツッツキも容易に出せるため、長短を使い分けることで相手のリズムを崩したり、予測を外したりしやすく、ミスを誘う場面も多くありました。実際に対戦相手からは「ツッツキの回転量が不規則で対応しにくい」と言われ、粘着ラバーらしい特徴を実感しました。
そのため、コースだけでなく長さにも変化を付けながらツッツキを送ることで、相手を崩し、十分に得点を狙えると感じています。
(2) ストップ
ストップも飛びすぎないため、自然と短く止まりやすい印象でした。相手の予想以上に短く止まる場面も多く、派手な攻撃ではなく、こうした台上プレーでじわじわと得点を重ねる感覚に懐かしさを覚えました。
また、台上で細かなコントロールがしやすく、相手に先手を取られにくい点も大きな魅力です。ストップの長さを自在に調整しやすいため、相手の攻撃を封じながら自分のペースで試合を組み立てられると感じました。
(3) サーブ
個人的に特に好印象だったのは、ショートサーブの出しやすさです。緊張した場面では、2バウンド目が台から出てしまい相手に強打されることがありますが、本ラバーは飛びすぎないため、短く収めやすく安心感がありました。これは実戦で非常に大きなメリットだと感じています。
また、私は粒高ラバーなどの異質ラバーを使用する選手に対して、回転を利用したレシーブが難しいナックルサーブを多用します。本ラバーでは球速こそ控えめなものの、揺れるような軌道の絶妙なナックルサーブを出しやすく、相手を惑わせる武器になりそうです。
一方で、ディグニクス09Cとはサーブ時の感覚がやや異なりました。ハイテンションラバーよりも飛びにくいため、想定よりも第一バウンドが手前に落ちやすく、低く抑えたサーブを出すには少し慣れが必要だと感じました。ただし、この点は使い込むことで十分に対応できると考えています。
強くインパクトしても飛びすぎず、しっかり回転を掛けられる点も好印象でした。
(4)ドライブ
キョウヒョウ8-80は、中国製粘着ラバーとしてはドライブ性能が高く、十分な飛距離を確保できると感じました。ただし、その性能を引き出すには、私の感覚では、中国製粘着ラバー特有の「ボールにラケットをぶつけるような打ち方」を意識すると性能を引き出しやすく感じました。
打球時には、ボールが一瞬ラバーに吸い付いてから飛び出すような感覚があり、非常にボールをつかみやすく感じました。実際に卓球仲間からも、「ボールが一瞬ラケットにくっついてから飛んでくるように見える」という感想をもらっています。
この特性のおかげで、ぶつけるように打てばスピードのあるドライブを、しっかり擦ればワンテンポ遅れて伸びてくるような、強烈な回転を伴うループドライブを打ちやすい印象でした。
また、前陣でドライブを振っても弧線が安定して描かれ、しっかり相手コートへ収まってくれる安心感があります。そのため、ミスを恐れず思い切ってスイングできました。
特にループドライブは非常に好印象でした。対戦相手からは「思っていたよりもボールがワンテンポ遅れて飛んでくる感じがして、タイミングが取りづらい」と言われる場面もあり、粘着ラバーらしい独特の打球が出ていることを実感しました。
また、カウンタードライブも安定して打ちやすく、相手のボールに押されることなく、安心して振り抜くことができました。
(5)ブロック
ラバーが飛びすぎないため、ブロックは非常に安定していました。相手の強打に対してもコントロールしやすく、安心感があります。とっさの場面でも「とりあえず当てれば台に収まる」という感覚があり、守備面では非常に心強い存在だと感じました。
ただし、このブロックのしやすさについては、使用しているラケット「ガレイディア リボルバー」が3枚合板にアリレートカーボンを組み合わせた構成で、コントロール性能に優れていることも影響していると考えています。そのため、本レビューはラバー単体だけでなく、現在のセッティング全体での使用感である点をご承知ください。
(6)フォアフリック
フォアフリックも非常に好印象でした。もともと私はフォアフリックを得意としておらず、ハイテンションラバーを使用していた頃は飛びすぎることを恐れ、実戦ではなかなか思い切って使うことができませんでした。
その点、キョウヒョウ8-80は飛びすぎないため、しっかりとインパクトしてもコントロールしやすく、安心して振り切ることができます。台上から積極的に攻撃へ転じやすく、フォアフリックの成功率も上がりそうな手応えを感じました。
また、このラバーを使っているうちに、ドイツのチウ・ダン選手のような「ストップとフリックのモーションが見分けにくいプレー」に挑戦してみたくなりました。飛びすぎない特性を生かせば、相手の意表を突く台上技術の幅がさらに広がるのではないかと期待しています。
4. ディグニクス09Cとの違い

ディグニクス09Cと比較すると、キョウヒョウ8-80の方が、ボールをしっかりつかんでから飛ばす感覚がより強いと感じました。
特にツッツキやストップなどの台上技術では、その違いを強く実感しています。ディグニクス09Cでも鋭いツッツキを打つことはできますが、飛距離が出やすいためオーバーミスを恐れたり、ストップが思いのほか長くなったりする場面がありました。
ドライブについても違いを感じました。ディグニクス09Cは、低く鋭い弾道で相手コートに突き刺さるような威力のあるボールが魅力のラバーです。一方で、私の場合は前陣において十分な弧線を作れず、攻めた場面でオーバーミスになってしまうことがありました。
その点、キョウヒョウ8-80はボールをしっかりつかみながら回転を掛けやすく、自然と安定した弧線を描いてくれるため、安心してスイングできる印象を受けています。
一方、キョウヒョウ8-80は飛びすぎないため、思い切って回転を掛けたツッツキや、短く止めるストップを安心して出すことができます。
また、打球時にはボールを一度しっかりつかんでから放すような感覚があり、中国製粘着ラバーらしい独特の打球感を存分に味わうことができました。
ただし、ハイテンション粘着性ラバーと中国製粘着ラバーでは、フォアドライブのスイングやインパクトの作り方に違いがあります。そのため、現時点では「どちらが優れている」と結論づけるのではなく、今後さらに重要な試合やさまざまな対戦相手で使用しながら、継続して検証していきたいと考えています。
5. 総評
キョウヒョウ8-80は、派手なスピードボールで打ち抜くというよりも、高い回転性能と優れたコントロール性能、そして中国製粘着ラバー特有の「くせ球」を駆使して相手を崩すプレーを得意とするラバーだと感じました。
特にツッツキやストップなどの台上技術は大きな武器になります。地味なプレーに見えても、回転量や長短の変化で相手のミスを誘い、着実に得点を積み重ねられる点は大きな魅力です。
また、中国製粘着ラバーとしてはドライブ性能も十分に高く、ループドライブやカウンタードライブも安心して振り切ることができました。
そのため、「初めて中国製粘着ラバーに挑戦してみたい方」や「粘着性ハイテンションラバーから本格的な中国製粘着ラバーへ移行してみたい方」にも、有力な選択肢の一つになるのではないでしょうか。
なお、キョウヒョウ8-80シリーズには、より弾みを強化した「キョウヒョウ8-80 パワー」もラインアップされています。私は現在バック面で使用しており、使用感がまとまり次第、裏面打法との相性も含めて別記事で詳しく紹介する予定です。
キョウヒョウ8-80が気になる方は、以下から価格や在庫を確認できます。
また、今回使用した用具の開封時の様子やラバーの貼り付け、完成後の総重量などについては、以下のYouTube動画でも紹介しています。興味のある方は、ぜひあわせてご覧ください。
「クセ球」について詳しく知りたい方はこちら
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