1.はじめに
卓球の用具解説や動画などで、
- 「粘着ラバーは癖球(くせだま)が出る」
- 「中国ラバーは球質が独特」
- 「ボールが重い」
といった言葉を聞いたことはないでしょうか?
しかし、初心者の方にとっては、
「癖球って何?」
「普通のボールとどう違うの?」
と疑問に感じることも多いと思います。
現在、卓球界ではテンション系ラバーが主流です。
テンション系ラバーは、
- スピード性能が高い
- 扱いやすい
- 安定したボールを打ちやすい
など、多くのメリットがあります。
その一方で、現在でも一定数のトップ選手が粘着ラバーを使用しています。
その理由のひとつが、卓球界でよく言われる「癖球(くせだま)」です。
ただ、「癖球」という言葉は感覚的に使われることも多く、初心者の方にはイメージしにくいかもしれません。
そこで今回は、
- 粘着ラバーとはどんなラバーなのか
- なぜ「癖球」が生まれるのか
- なぜトップ選手が粘着ラバーを使うのか
について、初心者向けにできるだけ分かりやすく解説していきます。
2.粘着ラバーとは
卓球のラバーは、大きく分けると、
- 表ソフトラバー
- 裏ソフトラバー
の2種類があります。
そのうち、現在主流となっているのが「裏ソフトラバー」です。
まず、卓球ラバーの基本構造を簡単に見てみましょう。
卓球のラバーは、主に2層構造になっています。

① ボールが当たるトップシート(ゴムシート)
② ゴムシートを支えるスポンジシート
※①のゴムシートのみで作られたラバーは「一枚ラバー」や「OX」と呼ばれます。
また、トップシートには粒があります。
- 粒の面が打球面になっているもの → 「表ソフトラバー」
- ツルツルの面が打球面になっているもの → 「裏ソフトラバー」
このように、粒の位置によって名称が変わります。
粘着ラバーは、この「裏ソフトラバー」の一種です。
なお、現在のプロ選手の多くも裏ソフトラバーを使用しています。
粘着ラバーは、トップシートに粘着成分を加えることで、ボールが接触した際の摩擦力を高めています。
そのため、強い回転をかけやすいという特徴があります。
新品の粘着ラバーでは、軽くボールを押し当てると少し張り付くような感覚があります。

ただし、すべての粘着ラバーが同じ性質というわけではありません。
粘着成分の加え方には種類があります。
- ラバー表面に粘着成分を付着させるタイプ
- ゴムシート全体に粘着成分を練り込むタイプ
などがあります。
例えば、バタフライの「ディグニクス09C」は、ゴムシート全体に粘着成分を練り込んだタイプです。
一方で、中国製の粘着ラバーでは、表面に強い粘着を持たせたタイプが多く見られます。
新品のアポロ5は、ボールがトップシートに張り付くほど強い粘着があります。
軽く押し当てると、逆さまにしてもしばらく落ちないほどでした。

3.癖球(くせだま)とは?
粘着ラバーの特徴として「癖球(くせだま)」があります。
これは、粘着ラバーの特徴として使われる表現です。
ただ、「癖球(くせだま)」と言われても、初心者の方にはイメージしにくいかもしれません。
この「癖球(くせだま)」を説明するために、まずはテンション系ラバー(高弾性ラバーも含む)の性質について触れておく必要があります。
(1)テンション系ラバー(高弾性ラバーも含む)の特徴
現在主流となっているテンション系ラバーは、ボールをインパクトした際に、ボールがラバーに食い込んでから強く弾き出される特徴があります。
そのため、相手の回転や打球の影響を比較的吸収しやすく、安定したボールを打ちやすいという特徴があります。
スイングが正しければ、ラケット角度が多少ずれていてもラバーがある程度補正してくれるため、ミスなく返球しやすいのです。
細かいラケット操作がなくても楽に打ちやすいため、車のAT車になぞらえて「オートマティック感がある」と表現されることもあります。
言いかえると、相手の打球の影響を受けにくく、比較的安定した球質のボールを打ちやすいということになります。
(2)粘着ラバーの特徴
粘着ラバーは、トップシートの粘着性を活かすために、硬いスポンジが使われることが多いです。
そのため、テンション系ラバーと比べると、ボールがラバーに食い込みにくい特徴があります。
ラケット角度が少しずれるだけでもミスにつながりやすいため、一般的に「扱いが難しいラバー」と言われています。
一方で、ラバーが相手の打球の影響を吸収しにくいため、回転や球質の特徴が打球に残りやすいという面もあります。
これが、後ほど説明する「癖球(くせだま)」にもつながっていきます。
【参考】
スポンジを硬くするのは、摩擦力が高い粘着シートの回転性能を最大限に活かすためです。
ラバーがボールに回転をかける要素には、
- シート表面の摩擦力
- ゴムのひきつれ効果
などがありますが、粘着ラバーは特に「摩擦力」を活かしやすいラバーと言えます。
(3)癖球とは?
上記の(1)(2)から、粘着ラバーは、相手の打球の回転や威力の影響を受けやすい特徴があります。
そのため、同じように打ったつもりでも、
- バウンド後にボールが伸びる
- 急に沈むように感じる
- ブロックするとオーバーしやすい
- 回転量を読みづらい
など、打球の球質に変化が出やすくなります。
これが、卓球界でよく言われる「癖球(くせだま)」です。
ただし、「癖球」といっても、ボールが不規則に変化する魔球という意味ではありません。
ハイテンションラバーのように球質が毎回一定になりにくく、インパクトや相手回転の影響によって回転量や弾道が変化しやすいため、見た目だけでは回転量を判断しづらい打球というイメージです。
4.粘着ラバーを使用する利点

以上のように粘着ラバーには、非常に個性的な特徴があることが分かりました。
(1)癖球(くせだま)が打てる
粘着ラバーは、相手の回転や打球の影響を受けやすいため、返球するボールの球質にも変化が出やすくなります。
例えば、
- バウンド後にボールが伸びるように感じる
- 逆に沈むように感じる
- ブロック時に回転量を合わせづらい
など、相手がブロックやカウンターの感覚を合わせにくい打球になることがあります。
また、粘着ラバーは、インパクトの強さや相手回転の影響によって、回転量や弾道が毎回一定になりにくい特徴があります。
そのため、見た目だけでは回転量を判断しづらく、相手にとって対応しにくいボールになりやすいのです。
一方で、テンション系ラバーは比較的安定した球質のボールを打ちやすいため、粘着ラバーよりは予測しやすい傾向があります。
(2)弾道をコントロールしやすい
これは、硬いスポンジが有利に働いています。
粘着ラバーは、ボールがラバーに食い込みにくいため、ラケット角度の影響が打球に出やすい特徴があります。
そのため、ラケット角度が少しずれるだけでもミスにつながりやすい反面、角度を正確に調整すれば、自分のイメージした弾道を作りやすいのです。
例えば、
- 低く沈むドライブ
- バウンド後に伸びるようなドライブ
- 回転量を重視したループドライブ
など、自分で打球を作り分けやすいという特徴があります。
一方で、テンション系ラバーはラバー側の反発力や補正能力が高いため、比較的安定したボールを打ちやすい反面、粘着ラバーほど打球の個性は出にくい傾向があります。
粘着ラバーは扱いが難しい反面、自分で打球をコントロールしやすい自由度の高いラバーと言えるでしょう。
このような特徴があるため、現在でも粘着ラバーを選択するトップ選手がいるのです。
5.まとめ

今回は、粘着ラバーの特性について「癖球(くせだま)」を中心に解説しました。
粘着ラバーは、ハイテンションラバーのように毎回一定の球質になりにくく、インパクトや相手回転の影響によって回転量や弾道が変化しやすい特徴があります。
そのため、見た目だけでは回転量を判断しづらく、独特な球質のボールになりやすいのです。
粘着ラバーと言っても、非常に扱いが難しい本格的な中国ラバーから、特徴をややマイルドにして扱いやすくした粘着テンション系ラバーまで、さまざまな製品があります。
近年では、初心者でも比較的扱いやすい粘着ラバーも増えています。
自分のプレースタイルに合ったラバーを選べば、粘着ラバーならではの回転や球質を楽しむこともできます。
「癖球とは何か?」が気になっていた方は、ぜひ一度粘着ラバーを試してみてください。
以上となります。参考になれば幸いです。






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