1.はじめに
私はこれまで、中国式ペンラケットをメインラケットするにあたり、ラケット重量の重要性を痛感し、軽量で性能が高いラケットを求める一環として、製品情報等からラケット平均重量を調査し、軽い中国式ペンラケットランキングを作成し公開しました。
気になる方は、以下のページで詳しく紹介しています。
一方、重量の重い中国式ペンラケットにも魅力的な部分がたくさんあることから、今回は、重い中国式ペンラケットランキングを作成しました。
※その魅力については、本記事の「6.重いラケットのメリット・デメリット」で、関連記事を紹介しています。
私自身の個人的指標として、85g以上の中国式ペンラケットは重量級のラケットと考えています。そこで、2026年版カタログやメーカー公式ホームページを調査したところ85g以上のラケットは59本でした。
今回は、ランキングとして比較しやすくするため、本記事では平均重量88g以上の23本を対象としました。
一方、2024年の調査では、同条件に該当するラケットは29本確認できました。2年間で重量級ラケットは6本減少したことになります。
この要因の一つとして、2024年には確認できたアバロックス社の中国式ペンラケットが、今回の調査では国内販売店やメーカー情報で確認できなかったことが挙げられます。P700やP900など、重量級ラケットの名作として知られるモデルが対象から外れたことは残念に感じます。
また、この2年間で一部の重量級ラケットが廃盤となったことも、対象製品数が減少した要因と考えられます。
それでは、現在販売されている重量級中国式ペンラケットを、ランキング形式で紹介していきます。
2.比較に当たっての留意点
(1)比較したメーカーについて
今回は、日本語を使用したカタログが存在するメーカー又はHPでラケットの平均重量が確認できるメーカー9社を比較対象としました。
なお、バタフライ社のデータはHP掲載の最新数値を参照しています。同社がカタログではなくHPにのみ重量を公開しているのは、1年間更新できない紙媒体よりも、常に最新で正確なデータを届けたいという誠実な姿勢の表れです。常に最新で正確なデータを届けようとする姿勢がうかがえます。
ドニック社、エクシオン社はWeb上で平均重量の記載がないこと、ヨーラ社、キラースピン社及びDr.Neubauer社は中国式ペンの販売がないようだったので除外しています。
比較したメーカー数:9社
バタフライ、ニッタク、ヴィクタス、ヤサカ、TIBHER、ミズノ、スティガ、アンドロ、ジュイック
(2)平均重量の表記方法について
各メーカーの平均重量の表示方法は微妙に異なりますが、同一の数値と見なして比較していますのでご了承ください。
【表示例(ラケット平均重量が80gの場合)】
バタフライ:平均重量80g
スティガ:平均重量(g)80±5
(3)本記事の性質について:カタログスペックの比較
本記事は実際の「用具レビュー」ではなく、各メーカーの公式カタログやウェブサイトに掲載されている「平均重量」を集計・比較したものです。私自身がすべての用具を試打したわけではないため、個別の使用感や製品の優劣、特定モデルの推奨を目的としたものではありません。あくまで数値データの比較として、用具選びの参考にご活用ください。
※但し、打球感を知っている所有ラケットについては、少し言及しています。
3.重い中国式ペンラケットランキング
今回は同重量のラケットが多かったため、順位ごとにまとめて紹介します。
(1)17位(88g・7本)

平均重量88gには7本のラケットが並びました。今回ランクインした7本は、すべて特殊素材入りのラケットでした。今回ランクインした88g帯では、特殊素材ラケットが多いことが分かります。
(2)10位(89g・7本)

平均重量89gには7本のラケットが並びました。ディフェンシブクラシックⅡの2本、クリッパーCR WRB、BANDA オフェンシブの計4本が木材ラケットで、残る3本は特殊素材入りでした。88gとは異なり、木材ラケットも存在感を示す重量帯となっています。
(3)同率5位(90g・5本)

平均重量90gには5本のラケットが並びました。90gは重量級ラケットの一つの節目となる重量です。5本のうち3本は木材ラケット、2本は特殊素材ラケットで、重量だけでは素材構成の傾向を判断できないことが分かります。
なお、私自身はインナーフォース レイヤー ZLC-CSを所有しており、実際の使用感についてはレビュー記事で詳しく紹介しています。

(4)4位~1位

上位4本はいずれも90gを超える重量級ラケットでした。7枚合板が2本(剛力C,クリッパーウッド)、特殊素材入りが2本と、木材ラケットと特殊素材ラケットが半数ずつランクインしています。100gの剛力Cは群を抜いた重量で、中国式ペンラケットの中でも非常に珍しい存在です。
第4位 91g 樊振東 CNF-CS(バタフライ)
91gで第4位となったのは、バタフライの樊振東 CNF-CSです。CNF(セルロースナノファイバー)を採用した特殊素材ラケットで、カタログでは「球持ちの良さと高反発を両立したラケット」と紹介されています。平均重量は91gで、今回調査した中では第4位にランクインしました。
樊振東選手は中国ナショナルチームを離れた後も、中国国内大会でトップ選手を相手に優勝を果たすなど、現在でも世界卓球界を代表するスーパースターです。彼のプレーに憧れ、このラケットを手に取る選手も少なくないでしょう。
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第3位 92g クリッパーウッド(スティガ)
クリッパーウッドは、スティガを代表する7枚合板のロングセラーモデルです。カタログでは「これぞ7枚合板の決定版。木材ラケットの最高峰。スピードと打球感が心地よいベストセラーラケット」と紹介されています。中国のレジェンド・劉国梁選手が使用していたラケットとしても印象に残っている一本です。
私も所有していますが、7枚合板らしい硬めの打球感と優れた弾みが特徴で、柔らかめのラバーとの相性が良いと感じています。一方で、両面に裏ソフトラバーを貼るとラケット総重量は180gを軽く超えてしまい、私には扱い切れませんでした。現在は軽いラージ用ラバーを貼り、ラージボール用として活用しています。

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第2位 95g ダイナスティカーボン(スティガ)
95gで第2位となったダイナスティカーボンは、木材5枚にカーボンを組み合わせた特殊素材ラケットです。カタログでは「弾みはカーボン、打球感は木材合板のスーパーラケット」と紹介されており、カーボンの反発力と木材ならではの打球感を両立したモデルです。今回調査した中でも95g以上はわずか2本しかなく、重量級ラケットの中でも特に存在感のある一本といえます。
個人的には、ブレード面の濃い茶色を基調としたデザインが印象的で、力強い木材の雰囲気が感じられる秀逸なデザインだと思います。
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第1位 100g 剛力C(ニッタク)
平均重量100gで第1位となったのは、ニッタクの剛力Cです。100gという重量は、中国式ペンラケットとしては非常に珍しく、今回調査した23本の中でも唯一の100g台でした。
カタログでは「個性は武器だ」というキャッチコピーが掲げられており、重量級の大きめのブレードによって、相手の強打に負けない安定したブロックを生み出すラケットと紹介されています。
また、『剛力シリーズ』は、個性的な用具で数多くの日本代表選手を育てた作馬六郎先生(王子クラブ代表・ニッタク用具アドバイザー)が監修・共同開発したシリーズです。選手の技だけでは越えられない場面を支える「力強さ」に着目して開発された、まさに個性派ラケットといえるでしょう。
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4.重量とラケット素材の関係
「重い中国式ペンラケットは、7枚合板が多いのか、それとも特殊素材ラケットが多いのか?」と疑問に思う方もいるでしょう。
重量ランキング上位のラケットを素材別に分類した結果が、以下の表です。
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ランキングを見ると、7枚合板、5枚+カーボン、5枚+ファイバーの3種類がほぼ同じように並んでいます。このことから、「重いラケット=7枚合板」というわけではなく、特殊素材ラケットにも重量級モデルは数多く存在することが分かります。
7枚合板は、木材を7枚重ねることで木材や接着層の総量が増えるため、重量が増えやすい構造です。また、木材ラケットの中でも弾みの良いモデルが多く見られます。
一方、5枚+特殊素材では、重量ランキング上位にカーボンを採用したラケットが多く見られました。特殊素材にはさまざまな種類がありますが、その中でもカーボンは比較的重量があるため、同じ条件で比較するとカーボンを採用したラケットは重量が増えやすい傾向があります。
また、5枚合板で上位にランクインした2本は、いずれもカット主戦型向けのラケット(ディフェンシブクラシックⅡ・サイバーシェイプ ディフェンシブクラシックⅡ)です。守備用ラケットはブレード面積が大きく設計されているため、その分ラケット重量も重くなる傾向があります。
つまり、中国式ペンラケットの重量は、単純に素材だけで決まるものではありません。合板構成や特殊素材の種類、さらにはブレードサイズなど、複数の要素が組み合わさることで重量が決まると言えるでしょう。
5.重量級ラケットを使いこなした宋恵佳選手
ラケットは、軽ければ軽いほど良いというものではありません。
中国式ペンの裏面打法で活躍した宋恵佳選手(現姓:中林恵佳さん)は、女子選手でありながら総重量約190gという重量級のラケットを使用していました。
卓球王国『卓球グッズ2024』(P.91)では、その理由について次のように語っています。
「フォアのラバーが重いのでラケットはなるべく軽くしていますが、それでも総重量は190gを超えています。手で振ると重く感じますが、体幹を使ってスイングすると重さを感じずに両ハンドを打つことができます。」
体幹を使ってスイングすれば重量を感じにくいという考え方は理屈として理解できます。しかし、これを試合中に実践できる選手は多くないでしょう。重量級ラケットは身体への負担も大きく、十分な技術や筋力がなければ扱いは容易ではありません。
なお、宋選手は2022年の全日本卓球選手権を最後に現役を引退しました。中国式ペンによる裏面打法を極めた女子選手として、現在でも多くの卓球ファンの記憶に残る存在です。
6.重いラケットのメリット・デメリット
本記事では、重量級の中国式ペンラケットをランキング形式で紹介しました。
しかし、ラケットは重ければ良い、軽ければ良いというものではありません。重量が増えることで威力や安定感が向上する一方、スイングスピードの低下や身体への負担が大きくなるなど、メリット・デメリットの両面があります。
重量がプレーに与える影響については、以下の記事で詳しく解説しています。ラケット選びに迷っている方は、ぜひあわせてご覧ください。
7.まとめ
今回は、中国式ペンラケット23本を対象に重量を調査し、重量ランキングを作成しました。
調査の結果、重量級ラケットは7枚合板だけでなく、カーボンなどの特殊素材ラケットにも多く見られることが分かりました。また、5枚合板でも守備用ラケットはブレード面積が大きいため、重量級に分類されるモデルが存在します。
ラケット重量に絶対的な正解はありません。大切なのは、自分の筋力やプレースタイルに合った重量を選ぶことです。
今回紹介した4本は、中国式ペンラケットの中でも特に重量のあるモデルです。重量級ラケットを探している方は、ぜひ最新の実売価格もチェックしてみてください。
軽量ラケットに興味のある方は、以下の記事もぜひご覧ください。
【関連記事】
シェークハンドラケットの平均重量について
日本式ペンの平均重量について
反転式ペンの平均重量について








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