1.はじめに
ペンホルダーのみなさんは、どのようなグリップでラケットを握っていますか?
ペンホルダーには基本的な握り方があります。しかし、入門書などで紹介されている一般的なグリップは、「裏面打法」ではなく、ペンの表面でバックハンドを処理する『バックハンドショート』を前提とした握り方です。
そこで、今回は『裏面打法』が打ちやすいグリップについてお話ししたいと思います。
2.裏面打法に特化したグリップ
一般的に、裏面に置く指は、中指でしっかりとラケットを支えて、薬指は添える程度、小指は浮かせておくのが基本です。

このグリップは、前述したとおりバックハンドショートのラケット角度が出しやすいグリップです。
『裏面打法』と『バックハンドショート』を併用するプレーヤーであれば、このグリップが適していると思います。
近年は、裏面打法を主体とするペンホルダー選手も見られるようになりました。
そのような中、『バックハンドショート』を一切使わない『裏面打法』に特化したグリップがあるのです。
3.松下大星選手のグリップ
ここで紹介したいのが、Tリーガーである松下大星選手のグリップです。

松下選手の裏面に置く指を、まっすぐに伸ばし、中指、薬指、小指をラケットにつけてしっかりと支えています。

さらに、表面の親指にも注目です。親指を非常に深く入れて握っています。この握り方により、裏面打法を打つ際のラケット角度を自由に調整しやすくなり、より打ちやすくなります。
当記事では、便宜的に『松下式グリップ』と呼ばせていただきます。
松下式グリップは、従来のペンホルダーの基本的な握り方とは異なるため、一昔前であれば矯正されるようなグリップだったと思います。
この握り方が従来の基本と異なる理由は、バックハンドショートのラケット角度が非常に出しにくくなるためだと私は考えています。
ですが、松下選手はバックハンドショートを使用しないため、従来の基本的な握り方にこだわる必要はありません。裏面打法の打ちやすさを追求した結果、このグリップになったと考えられます。
私も、松下選手のグリップで裏面打法をやってみたところ、
打球面が安定して、かなり打ちやすいのです!
バックハンドショートを使わず、裏面打法を主体とするのであれば、一度試してみる価値のあるグリップだと感じています。
現在も松下選手は裏面打法を主体としたプレースタイルを貫いています。なお、2026年6月末時点では、スーパーアリレートカーボンを搭載した特注の日本式ペンラケットに、両面「ザイア03」を組み合わせて使用しています。
4.ラケットのグリップを工夫
中国式ペンのグリップは、シェークハンドラケット同様に、丸くふくらみがありますが、松下グリップで実際にボールを打ってみると、グリップが少し太く感じました。
グリップが太くても裏面打法には大きな影響はありませんでした。しかし、フォアハンドでは窮屈に感じ、ラケット角度を付けにくくなりました。
そこで、私は下の画像のとおり裏面側のグリップの丸みを削り取りました。

削った面が角ばってしまったので、クッションとしてコルクを貼りました。
これで、個人的にはフォアハンドがかなり打ちやすくなりました。
松下大星選手も、一時期は中国式ペンを使用していたそうですが、グリップが太すぎるので、すぐに日本式の細身のグリップに戻したそうです。実際に松下式グリップを試してみると、中国式ペンのグリップを窮屈に感じた理由がよく分かりました。
では、次に松下式グリップのメリット・デメリットを挙げてみたいと思います。
5.松下式グリップのメリット

(1)フォアハンドの威力アップ
松下式グリップは、従来のグリップであればラケットに触れることすらない小指も使ってラケットを支えるので、ラケット面が安定します。
ラケット面が安定し、ラケットの裏面を中指・薬指・小指の3本でしっかり支えているので、インパクトの瞬間に「グッ」と力を入れやすいと感じました。非常に好印象でした。
(2)裏面ドライブが非常に安定する
フォアハンドと同様に、ラケットの裏面を中指・薬指・小指の3本と表面の親指でしっかり支えられるため、ラケット角度が非常に安定し、自信を持ってスイングすることができました。
(3)ラケットが軽く感じられる
私にとっては、思いがけないメリットでした。ラケットの裏面を中指・薬指・小指の3本でしっかり支えているので、ラケットが軽く感じられるのです。
試しに、松下グリップで180g超の中国式ペンを使ってみたのですが、従来のグリップよりも自分の感覚では、10gくらいは軽く感じられました。※個人の感想です。
6.松下式グリップのデメリット

(1)台上処理がしにくい
従来のグリップに比べると、台上技術ではラケット角度の微調整に慣れが必要だと感じました。
これは、40年以上慣れ親しんだ従来のグリップから松下式グリップへ変更したことも影響していると思います。練習を重ねれば克服できる可能性は十分あると感じています。
(2)スナップを効かせるサーブがしにくい
上記の台上処理と同様、従来のグリップとは感覚が異なるためサーブの回転がかけにくくなりました。個人的には、特にYGサーブがやりにくくなりました。
ただし、サーブのときだけ握り方を少し変えれば、十分対応できると思います。
(3)バックハンドショートは非常に打ちにくい
松下式グリップは、バックハンドショートのラケット角度を瞬間的に出すのは難しいです。もし、元オリンピックチャンピオンの馬林(マリン)選手のように、裏面打法とバックハンドショートを織り交ぜてプレーするのであれば、松下式グリップはおすすめしません。
※バックハンドショート:バックハンドをペンホルダーの表面で処理する技術
(4)中国式グリップが窮屈に感じる
これは個人差があると思います。個人的には、松下式グリップには、細身のグリップが向いていると感じています。現在は、反転式ペンのグリップを加工して使用していますが、細身のグリップとの相性は非常に良いと感じています。
反転式のペンのグリップ加工については、以下の記事で詳しく解説しています。
7.まとめ

松下式グリップは、バックハンドショートを使わず、裏面打法を主体とするプレーヤーであれば、一度試してみる価値のあるグリップだと思います。
一方で、メリットだけでなくデメリットもあります。特に、サーブや台上技術、バックハンドショートには慣れや工夫が必要になるため、本記事で紹介したメリット・デメリットを十分に理解したうえで取り入れることをおすすめします。
私自身も松下式グリップの有効性は実感しています。しかし、40年以上慣れ親しんだ従来のグリップの癖は非常に強く、気が付くと元のグリップに戻ってしまうことも少なくありません。
現在は、反転式ペンの日本式ペンブレード(角丸型)を使用しながら松下式グリップの練習を続けています。個人的には、裏面打法の威力がさらに向上したと感じています。詳しくは、以下の記事で紹介しています。
以上となります。みなさまの参考になれば幸いです。
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コメント
ラケット裏面中央に3本指を伸ばすとバック打つとき指に当たることが頻発しそうですが、
コメントいただきありがとうございます!
確かに指に当たるのが増えそうですよね💦
卓球仲間の裏面使いの方も、指に当たるのが心配で裏面側の3本の指を大きく曲げてラケット面を増やすグリップを試している人がおられます。
私の場合は、ほぼ松下選手と同じグリップでプレーしていますが、ボールのバウンドの見極めが悪かったときは指に当ててしまうものの、思いのほか指に当たるのは通常のグリップと比べても増加することなないと感じています。ようは慣れだと個人的には感じております。