1.はじめに
私は、中国式ペンの裏面に使用するラバーを模索した結果、裏面打法を会得するには「極薄ラバー」が最適と考え、使い始めて約10年が経過しました。
現在は、「アポロ5超極薄(銀河)」を5年以上メインラケットに貼って使用しています。
極薄ラバーを裏面打法に使用するメリットは数多くありますが、もちろんデメリットもあります。
前回、「グレイザー09C(バタフライ)」をフォア面で使用して好感触だったので、今回は、「グレイザー(バタフライ)」に着目し、中国式ペンの裏面に貼って使用してみることにしたのです。
約10年間、硬いスポンジの中国製極薄ラバーを使用してきた私が、「グレイザー(バタフライ)」を使ってみたら、どのように感じるのかをレポートします。
今回のレポートは、裏面打法用に使用した場合のレポートになるため、「ツッツキ」「サーブ」は行っておらず、一般的なレビューとは異なりますのでご了知ください。
威力と安定した弧線を両立するハイパフォーマンスラバー
グレーの「スプリング スポンジX」を採用した『グレイザー』。球持ちがよく、表面の摩耗耐久性が高いシートと、スポンジ硬度38に設計された「スプリング スポンジX」の組み合わせは、打球に回転による威力をもたらすとともに、安定した弧線を描く打球を可能にします。回転を重視したパワフルな両ハンドドライブやカウンターが打てる喜びを、より幅広いレベルの選手に提供します。
参照元:バタフライHP
私は、現在フォア面に「グレイザー09C(バタフライ)」を使用しているので、球質の違いを生み出す目的で、「グレイザー(バタフライ)」を選択しました。
それでは、現在メインで使用している「アポロ5超極薄(銀河)」と時折比較しながらご紹介しますので、参考程度にお読みいただければと思います。
2.ラバー重量
中国式ペンプレーヤーである私は、ラケットとラバーの重量をかなり重視します。まずはラバー重量についてご紹介します。
参考までに、個人的に重量を測定した表を以下のとおり示します。
当然ながら現在使用している極薄ラバー「アポロ5(超極薄)」よりかなり重いです。極薄系ラバーからグレイザー(特厚)に変更する場合は、少なくとも10g以上重くなることを覚悟する必要があります。
粘着系テンションラバー「グレイザー09C」よりはやや軽いと言えるでしょう。
また、テナジー05と同じ重量帯のラバーであると推測ができます。
今回の試打に当たり、ラケット・ラバーの組み合わせは「軽いラケット」を意識して構成することにしました。
3.使用用具(軽量ラケット)
今回は、「軽量ラケット」をコンセプトにして組み合わせました。
※バック面は、全面にラバーを貼っています。
なお、ブラックバルサ7.0 (TSP)については廃盤になっていますが、同じ仕様のラケットをヴィクタスで販売しています。非常に軽いラケットです!
結果として、総重量148gという両面に特厚ラバーを貼っているとは思えない軽いラケットに仕上げることができました。
4.使用感
グレイザーシリーズは、「グレイザー」「グレイザー09C」がありますが、私はフォア面に「グレイザー09C」を使用しており、打球の質を変えるために「グレイザー」を選択しました。
(1)回転量
さすがに、回転量重視の「アポロ5(超極薄)」のえぐいほどの回転量はないですが、十分な回転量がありました。裏面ドライブを打つ際はボールがしっかりと上がってくれるので綺麗な弧線が描けます。かなりドライブが安定します。
これについては、「グレイザー09C」にも同様な印象を受けました。
(2)スピード(ドライブ)
「アポロ5(超極薄)」と比べるのは無理がありますが、素晴らしいスピードドライブが打てます。これも「グレイザー09C」と同じ印象なのですが、コントロールできない程のぶっ飛びラバーというほどではなく、個人的には「コントロールできる範囲でかなり速いボールが打てる」といった印象でした。
(3)コントロール性能
ボールをしっかり掴む感覚があるので、打球が安定し、かなりコントロールしやすいです。回転系のボールを打つ場合は、不満はありませんでした。
普段使用している極薄ラバー「アポロ5(超極薄)」は、弾まないのでコントロールがしやすいです。両者性質は大きく異なりますが、コントロールの面ではどちらでも慣れれば問題ないと感じました。
(4)チキータ
チキータがしやすいかどうかが、個人的には最大の問題点です。なぜなら、私が裏面打法において最も使用する技術が「裏面チキータレシーブ」だからです。
※なぜ、「裏面チキータレシーブ」を最も使うかのか?については、別記事で紹介しています。
使う前は、「飛びすぎてコントロールできないのでは?」と心配していましたが、問題なかったです。
インパクト時にしっかりとボールを掴んでくれるので、思いのほかコントロールがしやすいのです。当然ですが、極薄ラバーよりボールスピードはかなり速くなりました。
アドバイスを頂いた方と対戦した際は、チキータレシーブに対して何本もカウンタードライブを決められてしまいました・・・。
(5)フラット打ち
裏面打法におけるラット打ちについても、個人的にはチキータの次くらいに重要な技術だと考えています。
フラット打ちに関しては、極薄ラバー「アポロ5(超極薄)」の方が打球時の初速が速く、ナックル系の球質が出しやすいので得点率が高いと感じました。
「グレイザー」の場合は、インパクト時にボールが食い込むので、個人的には回転をかけないフラット打ちに関しては、逆にコントロールが難しく感じました。慣れが必要なのかもしれません。
(6)裏面ドライブ(前陣)
3球目攻撃において、裏面ドライブを打つ際は台の近くで打つことになります。
個人的には、「グレイザー」を使用して最も好印象だったのが、台の近くで打つ裏面ドライブでした。
特に下回転を裏面ドライブでインパクトした際に、ボールをグッと掴んでしっかりとボールが上に飛んでくれるのでイメージした弧線が描けます。よって、ドライブが非常に安定するので安心してスイングできます。
(7)中陣ドライブ
最高です!昔、接着剤でグルーイングしたラバーを使っていたころの懐かしさがありました。試合で裏面ドライブを中陣から打つ機会は多くありませんが、爽快な打球感がとても気に入りました。
しかも、打球時にボールが上がるので打球が安定するため、楽に良いボールが打てると感じました。
(8)ブロック
めちゃくちゃ楽にブロックできます。極薄ラバーの場合は、回転量の多いドライブをブロックする場合は、シビアなラケット角度が求められるので難しいのですが、「グレイザー」はボールがラバーに食い込んでくれるので、多少ラケット角度が違っても安定したブロックが可能になるようです。
(9)癖球(くせだま)
裏面ドライブや台上処理(裏面チキータ)の球質が、極薄ラバー「アポロ5(超極薄)」と比較すると癖のない綺麗な弾道のボールになります。
さきほど、(4)チキータでも述べましたが、この点が個人的には最大の問題点です。裏面打法で回転をかけたボールの弾道が素直な故にいわゆる「癖球(くせだま)」にならないので、相手が対応しやすい(返球しやすい)印象がありました。
一方で、ボールスピードがあるので相手のスイングを詰まらせて、チャンスボールを生み出す場面も増えたので、一概にどちらが良いとも言えないのです。
※癖球(くせだま)については、別記事で詳しく解説しています。
(10)補足(フォア面の弾みが向上)
補足ですが裏面のラバーを貼り替えることにより、フォア面の打球感・弾みが変わることはご存じでしょうか?
今回、極薄ラバーからテンション系ラバーに変更したことにより、明らかに弾みが強くなりオーバーミスが激増しました。そのため慣れるのに少しだけ時間を要したことを付け加えておきます。
5.注意点
「グレイザー(バタフライ)」をご紹介してきましたが注意点があります。
裏面打法を始めたばかりの方にとっては「グレイザー(バタフライ)」は、扱いが難しく感じてしまうことが想定されます。
もし、裏面打法用のラバーとして「グレイザー(バタフライ)」を使うのであれば、少なくともバックサイドの下回転のツッツキに対して、安定した裏面ドライブを打てる打球感覚を磨いてから使用することをおすすめします。
仮に私が、裏面打法を始めたばかりであれば「グレイザー(バタフライ)」を使いこなすのは困難で、ミスを連発するばかりで上達するのが遅くなってしまうと感じます。
裏面打法に今からチャレンジすることを検討している方は、まずは極薄ラバーで打球感覚を磨くことが上達への早道だと考えます。
6.まとめ
いかがだったでしょうか?
やや強引ですが、極薄ラバー「アポロ5(超極薄)」と比較した表を示しますので参考程度にご覧ください。
表を見てみると両者の長所が見て取れます。
ラバーを選ぶ際は、自分がどの技術を優先するかを明確にする必要があります。
「グレイザー」は、全体的に非常にバランスが取れているラバーと言えます。個人的には裏面ドライブの安定感が特に印象的でした。
「アポロ5(超極薄)」は、球速こそ遅いものの裏面チキータが打ちやすく、対戦者が嫌がる癖球が打てるという点に注目です。
個人的なことを言うと、様々な極薄ラバーを約10年以上使い続け、大きな不満はなかったのですが、唯一不満だったのが裏面ドライブの不安定性でした。
癖球が出せなくなるが点は気になりますが、バランスがとても良いラバーであることが実感できたので、しばらくの間は「グレイザー」を使用する予定です。
以上となります。みなさまの参考になれば幸いです。
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