1.はじめに
みなさんは、小塩悠菜(おじお ゆうな)選手をご存じですか?
小塩選手は、JOCエリートアカデミーに所属し、Tリーグでも活躍している若手の注目選手です。
2026年には、アジアユース卓球選手権のU19女子団体で日本の優勝に貢献。決勝では中国と対戦し、小塩選手自身も3-1で勝利しました。
この優勝は、U19女子団体として史上初の金メダルという快挙です。
そんな小塩選手ですが、実績だけでなく、個性的なラケットの持ち方(グリップ)や独特のプレースタイルでも注目されています。
市民プレーヤーで個性的なグリップの方は時々見かけますが、世界レベルで活躍する選手が、このような特殊なグリップを実戦で使っているのは非常に珍しいのではないでしょうか。
2.小塩悠菜選手について
小塩悠菜選手は、2026年現在、JOCエリートアカデミーに所属しながら、Tリーグのトップおとめピンポンズ名古屋でもプレーしています。
さらに、小塩選手は年代別の国際大会だけでなく、ワールドユースツアーでも優勝を経験するなど、すでに国際舞台で実績を残しています。
一方で、現時点ではシニアの国際大会への出場機会がまだ多くないため、世界ランキングはトップ選手と比べると高い位置にはありません。
しかし、これは小塩選手の実力を判断するうえで、ランキングだけを見るべきではない理由の一つでもあります。
今後、シニアの国際大会への出場機会が増えていけば、世界ランキングを大きく上げ、世界トップレベルの舞台で活躍する可能性も十分に期待できる選手だと私は考えています。
そして何より興味深いのが、このような実績を、非常に個性的なグリップとプレースタイルで成し遂げていることです。
小塩悠菜選手の主な戦績やプロフィールは以下のとおりです。

いかがですか?
小塩悠菜選手は、これだけの実績を唯一無二のグリップで成し遂げているのです。
一昔前であれば、すぐに一般的なグリップに矯正されてしまうことでしょう。小塩選手の個性をそのままにして指導してこられた方々に拍手を送りたいと思います。
という訳で、今回は小塩悠菜選手のグリップ等について、個人的見解を交えながら分析していきたいと思います。
なお、本ブログでは小塩悠菜選手のグリップを「小塩式グリップ」と呼称します。
小塩悠菜選手については、以下のヴィクタスHPでも詳しく紹介されています。

3.「小塩式グリップ」の特徴

個人的には、「小塩式グリップ」は、ペングリップとシェークハンドグリップの中間的なグリップだと考えています。
理由としては、ラケットを掌(てのひら)の一部で支えているからです。
後でも述べますが、ラケットを掌(てのひら)の一部で支えているため、ペングリップよりもラケットがかなり軽く感じられ、フォアとバックの切り替えも非常にスムーズになります。
どのようなグリップかを画像と共にご説明します。

ラケットの表面は、親指のみで支えており、掌(てのひら)の部分も使ってラケットを支えています。※赤丸の部分です。

ラケットの裏面は、親指以外の4本の指で支えています。
注目は、人差し指です。人差し指だけ軽く曲げて、ラケットの木材の部分にあててしっかり固定しています。※赤丸の部分です。

では、次に「小塩式グリップ」のメリット・デメリットについて考察します。
4.「小塩式グリップ」のメリット
今回の記事を書くにあたっては、敢えて重くなるようにセッティングしたラケットを用意し、実際に「小塩式グリップ」で試打を行いました。

その結果、実際にプレーしてみて感じた「小塩式グリップ」のメリットは、主に以下の3点です。
(1)バックハンドがやりやすい
厳密にはペンホルダーグリップではないので、「裏面打法」と呼ばないかもしれませんが、自然にラケットを持った状態が、そのままバックハンドを打てる角度になっているため、非常にスムーズに打球することができます。
(2)切り替えがスムーズ
「小塩式グリップ」でスイングすると、非常にコンパクトなスイングになります。そのため、フォアハンドとバックハンドの切り替えが非常にやりやすく、ピッチの速さで勝負ができるグリップであると言えます。
(3)ラケットが軽く感じる
グリップの説明で述べたとおり、ラケットの一部を掌(てのひら)でも支えているので、指だけでラケットを支えるペンホルダーグリップと比較すると、ラケットが非常に軽く感じられます。
グリップの説明で使用したラケットの重量は、約180gとペンホルダーラケットとしては重量級でしたが、実際に使ってみると非常に軽く感じました。
そのため、ペンホルダーラケットの両面にラバーを貼って、ラケットが重すぎると悩んでいる人には、もしかすると参考になるグリップかもしれません。
5.「小塩式グリップ」のデメリット
つぎに感じたデメリットについても解説します。

(1)フォアハンドドライブの威力が出しにくい
「小塩式グリップ」は、スイングがコンパクトになるため、スイングによる遠心力が小さくなります。よって、ペンホルダーで威力のあるボールを打つ人にとっては、物足りなく感じると思います。
小塩悠菜選手の場合、フォア面のラバーは表ソフトを使用しています。フォアハンドの強打は、ドライブではなくフラットにボールを叩く、スマッシュ系の技術を主に用いています。
(2)サーブが限定される
「小塩式グリップ」は、サーブ時の手首の可動域が狭いため、YGサーブなど、手首のスナップを必要とするサーブは難しいと感じました。
そのため、サーブの時だけグリップを変えるなどの工夫が必要となる可能性があります。
なお、小塩悠菜選手は、手首のスナップをそれほど必要としない巻き込み系のサーブをメインに使っているように見受けられます。
(3)すっぽ抜けそう
ラケットの表面は親指だけで支えているので、強くスイングしたときに、ラケットがすっぽ抜けそうで不安を感じました。
※慣れの問題かもしれません。
6.実際に「小塩式グリップ」でプレー可能か?

今回の記事を書くにあたり、あえて重量級の182gの中国式ペンを使用し、実際に「小塩式グリップ」でプレーしてみました。
結論として、通常のペンホルダーグリップから「小塩式グリップ」へスムーズに移行するのは、難しいと感じました。
- スイングがコンパクトになるため、打球点が異なる
- 手首が使いにくいため、フォアドライブの打球感覚が異なる
ペンホルダープレーヤーである私にとっては、違和感だらけでした。どのくらい難しいと感じたかと言いますと、シェークに転向した方がまだ簡単だと思ったくらい難しく感じました。
別ブログで、「松下式グリップ」がかなり有効だと述べていますが、「小塩式グリップ」については、使えるようになるにはかなりの訓練が必要だと感じました。
一方で、最初から(初心者のころ)「小塩式グリップ」にすれば、違和感なく使えるようになるのではないかと個人的には感じています。
コラム:小塩悠菜選手が使用する「マグナス(ヴィクタス)」
ここまで「小塩式グリップ」について解説してきましたが、小塩悠菜選手が実際に使用しているラケットも気になるところです。
2026年7月現在、VICTASの公式プロフィールによると、小塩選手が使用しているラケットは「マグナス CHN」です。
「マグナス CHN」は、HADカーボンを搭載した中国式ペンラケット。粘着性・微粘着ラバーとの相性を考えて開発されたという点が、個人的には特に気になります。
一方、平均重量は約88gと、中国式ペンラケットとしてはかなり重い部類に入ります。
小塩選手は身長160cmと比較的小柄な体格ですが、今回紹介した「小塩式グリップ」なら、ラケットを軽く感じやすいため、この重量のラケットでも自在に振り回せるのかもしれません。
私自身はまだ「マグナス CHN」を使用したことがありませんが、小塩選手と同じラケットで「小塩式グリップ」を試してみたい方には、非常に興味深いラケットではないでしょうか。
7.まとめ

いかがだったでしょうか?
今回、実際に「小塩式グリップ」を試してみましたが、通常のペンホルダーグリップからスムーズに移行するのは、かなり難しいと感じました。
特に、打球点やフォアドライブの感覚が大きく異なるため、生半可な気持ちで挑戦するのはダメ!というのが、私の率直な感想です。
一方で、バックハンドの打ちやすさやフォア・バックの切り替えのスムーズさ、ラケットが軽く感じられることなど、「小塩式グリップ」ならではのメリットも実際に感じることができました。
だからこそ、この独特なグリップを使いこなし、世界の舞台で活躍している小塩悠菜選手の技術には、改めて驚かされます。
小塩選手は、グリップだけでなくプレースタイルも個性的な選手です。今後、シニアの国際大会への出場機会が増え、世界トップレベルの舞台でどのようなプレーを見せてくれるのか、非常に楽しみです。
個人的にも、これからの小塩悠菜選手の活躍を全力で応援していきたいと思います。
以上となります。みなさまの参考になれば幸いです。
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