1.はじめに
この本は、2019年に卓球王国から出版された「卓球戦術ノート」シリーズの第3弾です。この本も過去の2冊と同様、役立つ考え方が満載です。
今回は、第3弾『卓球戦術ノート』の中で、特に私が参考になったポイントをピックアップしてご紹介しようと思います。
2.本書について
「敗者を勝者に変える『卓球戦術ノート』あなたはなぜ試合で勝てないのか」は、2019年4月に卓球王国から出版されています。本の内容は、月刊紙である『卓球王国』2012年6月号~2016年7月号まで記事を加筆・修正してまとめたものです。
著者である高島規郎氏は、全日本選手権3回優勝し、現役引退後は世界選手権の全日本監督を務めるなど、指導者としても活躍し、卓球理論家としても著名な方です。
本書では、最後の1点を自力でとる方法、動きと打法の戦術論、戦術とメンタル、指導者の役割、戦型別の攻略法など、卓球に関する考え方について幅広く論じられています。
3.ピックアップポイント
役立つ記事が数多くある本書ですが、特に役立つと感じたポイントを4点だけピックアップしてご紹介します。
(1)「3ポイント連取」の気持ちが勝利のカギ
ゲーム序盤にスタートダッシュをかけたい場面でも、ゲーム終盤の絶体絶命のピンチから逆転勝利を収めたい場合でも、大事なのは「3ポイントを連続で取る」ことなのである。
参照元:『卓球戦術ノート』
(中略)
出足のスタートダッシュから常に、連続3ポイントを取る気持ちで訓練すること。サービスで2本とった時には、3本と連続で取らないと勝てないんだ、ということを肝に銘じること。
良くあるパターンですが、自分のサーブで良い展開を作ることができ2ポイントを取ることが出来ても、そこで無意識に気が抜けてしまい簡単にポイントを与えてしまうことがあります。
高島氏は、2ポイント連続で取れた次のポイントこそ更に集中力を高めて、何が何でもポイントを取りに行くことが勝利に繋がることを述べています。
こういった姿勢は、本番の試合でいきなりできるものではありません。普段の練習の時から意識しておくことが重要になります。
(2)最後の1点は自力で取れ
重要なのは、「最後の1本は自分で決める」という強固な意志である。
参照元:『卓球戦術ノート』
(中略)
最悪なのは、相手の凡ミスを待ってしまうことだ。相手のミス待ちでは、リードしている場面であっても気持ちが受け身になっているから攻められない。
特に日本人は、相手のミス待ちをしてしまう傾向があるそうです。
「最後の1本は自分で決める」という考え方の重要性は、試合経験のある方であれば共感して頂けると思います。私の経験上、受身の姿勢で試合を進めてしまうと良い結果になった試しがありません。
試合で勝ち上れば勝ち上がるほど、自分と同レベルかそれ以上の相手と戦うことになるため「最後の1本は自分で決める」という意識を普段から持っておく必要があります。
(3)「先を読む」訓練
重要なのが「先を読む訓練だ」(中略)もちろん、その予測が外れることもあるのだが、そういった訓練や意識を繰り返すことで、予測の精度は高まっていく。(中略)そういった訓練の中で、自分のプレーがシステム化・パターン化され、洗練されていくのが理想的だと言える。
参照元:『卓球戦術ノート』
強くなるためには必要だと認識はしているけど、なかなか出来ていないことなのではないでしょうか?
サーブやレシーブをする前に、次のプレーの予測をしてから実際のプレーに入っていくことが必要なことは理解しているのですが、私の場合、集中力が途切れていたりすると行き当たりばったりのプレーをしてしまうのです。実に当たり前のことなのですが、1試合を通じて「先を読む」ことを継続することの難しさを痛感しています。
(4)チキータ
良質のチキータというのは、ストップレシーブをするようなバウンド直後を狙うようなタイミングで、ボールのバウンドに合わせて身体とラケットを寄せていき、そこから瞬間的にバックスイングを取り、回転をかけていく。そのようなチキータがもっとも得点率が高いものになる。
参照元:『卓球戦術ノート』
本書では、技術的なアドバイスも数多く記載されているのですが、上記のポイントが個人的に最も役立っているので最後にご紹介します。
チキータレシーブについて非常に具体的に説明されています。私は、実際に取り入れていますが、相手にとってコースが読みづらく、非常に質が高い得点率の高いレシーブをすることができるようになったと実感しています。
私が、ラケットの軽量化に力を注いでいる理由として、軽量ラケットを使用することにより台上におけるラケットの操作性が向上することが挙げられます。当然ながら上記のチキータレシーブも非常にやりすくなります。
4.さいごに
以上、私が個人的に印象に残った個所についてピックアップして紹介しました。
本書では中級者(自称)である私では、書いてある意味は理解できても、実際に実行するとなると難しく感じる高度な内容も数多く記載されています。
また、だれでもすぐに取り入れることができる考え方も掲載されているので、初級者から上級者までどのレベルの方が読んでも、数か所は非常に参考になる点が見つかる本だと思います。上達を目指す方には是非読んで欲しい本です。
個人的には、プレーにおける「予測する能力を普段から鍛える重要性」を特に感じるとができました。
高島氏の『卓球戦術ノート』シリーズは、現時点で3冊発売されており今回のご紹介が最後になります。3冊とも全て卓球をより理論的に考えることの重要性を改めて感じさせてくれます。
※1冊は、絶版となっているため購入できるのは2冊です。
以上となります。今後の卓球の考え方の参考になれば幸いです。
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