1.はじめに
みなさんは粒高ラバーを使用した選手と対戦したことがありますか?
粒高ラバーを使用する方は多くはありませんが、たまに対戦すると慣れない球質にとまどい、苦戦した経験がある方もいらっしゃると思います。
粒高ラバーは、裏ソフトラバーほどの市場はありませんが、国内外の卓球メーカーにおいて様々な特徴をもった製品を発売しており、ネットで入手できる種類だけでも50種類以上の商品が確認できます。
そこで、今回は粒高ラバーの性能の性質や特徴などについてお話ししたいと思います。
2.粒高ラバーと表ソフトラバーの違い
粒高ラバーと表ソフトラバーは、ボールが接触する面がツブになっているので、基本的に同じですが、ルール上「粒の大きさ」「粒の直径」によって分類されています。
両者の違いをざっくりと説明すると、
【粒高ラバー】
ボールをインパクトした際に、粒が倒れやすい(粒が細長い)
【表ソフトラバー】
ボールをインパクトした際に、粒が倒れにくい(粒が太くて短い)
結果として両者の大まかな特徴は以下のようになります。
下の表から分かるとおり粒高ラバーは、相手のボール回転を利用しつつ、球質の変化を駆使して勝負する用具と言えます。
ここからは、参考までに粒高ラバーと表ソフトラバー違いに関する規定を以下のとおり掲載します。
細かいので読み飛ばしていただいて全く問題ありません。
(1)粒の形状の規定
粒の直径:1.0mm~2.2mm
粒の間隔:1.0mm~2.0mm
粒の高さ:1.0mm以上
トップシートの厚さ:2.0mm以下
(2)形状比率
「粒の高さ」÷「粒の直径」=形状比率
形状比率:0.9以下 ⇒ 表ソフトラバー
形状比率:0.9超~1.1以下 ⇒ 粒高
例:粒の高さ 1.0mm ①
粒の直径 1.0mm ②
①÷② =1.0 となるので「粒高」に分類される。
3.粒の形状(2タイプ)
粒高ラバーの粒形状は、比較的細長い形状をしていることをご説明してきました。
それらの粒の形状のほとんどは、2タイプに分かれます。
(1)円柱形タイプ
シンプルな円柱形をしています。
粒高ラバーの中でも、打球時に粒が比較的倒れやすい形状をしています。
(2)円柱+台形タイプ
台形が粒を支える形状をしているので、粒高ラバーの中では打球時に粒が倒れにくい形状です。
(3)まとめ
一般的には、以下のとおりになります。
粒が倒れにくい⇒打球が安定(安定重視タイプ)
粒が倒れやすい⇒打球が不安定(変化重視タイプ)
なお、粒の大きさ(直径)については、ルール上の制限があるため粒の直径は、1.3mm~1.5mm程度と類似しているため顕著な差は出にくいと考えられます。
4.粒の間隔
粒の密度が高いほど打球時にボールと接触する粒が多くなります。よって、以下のように性質が異なってきます。
各社の粒高ラバーの間隔は、おおよそ1.0mm~1.6mm内に納まっていますが、それでも以下のような特徴が出てきます。
5.粒の配列(縦目・横目)
粒の配列によっても性質が異なると言われています。
正直申し上げますと、私は粒高ラバーを主戦武器として使い込んでいないためか、配列による違いを感じたことはありません。
また、ネットや雑誌でレビューを確認してみたのですが、使い手によって感想が異なるようです。これは、個人のスイングやスイング強度によってフィーリングが変わるからではないかと考えられます。
ここでは、一般的に言われている性質を参考までに記載いたします。
6.スポンジの有無
通常のラバーは、スポンジがある製品がほとんどですが、粒高ラバーの場合は異なります。
粒高ラバーの場合は、スポンジがないラバー(OX)が主流と言えます。(※特にペン粒高選手)
何故なら、スポンジがあると打球が安定する半面、粒高ラバーの最大の特徴である変化のあるボールが出しにくくなるのです。つまり、相手も取りやすいボールになってしまうため粒高ラバーを使用する意味が薄れてしまうのです。
7.(参考)ペン粒高プレーヤー
女子卓球界の生きる伝説 倪夏蓮(ニィ・シアリエン)選手をご存じでしょうか?
彼女は、ペンホルダーのフォア面に粒高ラバーを貼ってプレー選手です。
年齢はなんと60歳でありながら、中国選手に勝利するなど活躍を続けている選手なのです。(2023年12月末現在)
興味のある方は、別記事で詳しくご紹介していますのでご覧ください。
8.代表的な粒高ラバー
ここでは、数ある粒高ラバーでも代表的な製品について参考までにご紹介します。
(1)カールP1V(ヴィクタス)
粒高ユーザーであれば、一度は試したことがあるのではないかと思います。
特にカットマンがバック面に使用しているイメージが強いです。ドライブに対するバックカットが非常に切れ味鋭く、苦しめられた経験が何度もあります。
(2)グラスD.TecS(TIBHAR)
テンション系の粒高ラバーです。粒高ラバーとしてはスピードが出るので、攻撃的なプレーが可能になる点が、人気の秘密だと言えそうです。
9.おわり
粒高ラバーは、自分から回転を生み出すことは難しい用具ですが、相手が打ったボールの回転を利用したプレーをすることができる裏ソフトラバーとは一味違ったラバーです。
粒高ラバーを使用する代表的なプレーヤーとしては、カットマン(バック面に粒高ラバー)、ペン粒高(フォア面に粒高)、シェーク異質攻撃型(バック面に粒高ラバー)等が挙げられますが、それぞれに粒高ラバーに求める性能は異なってきます。
粒高ラバーを使用したプレーに挑戦する場合は、自分がどんなプレーをしたいかを明確化にして、それに合わせた用具を選ぶことが非常に重要だと言えます。
最後に、ルールにより別分類となっている「表ソフト」については、別の記事で詳しくご紹介していますので、興味のある方はご覧いただけますと嬉しいです。
以上となります。みなさまの参考になれば幸いです。
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