1.はじめに
私自身、裏面打法を主軸にプレーするペンホルダーの一人として、世界の舞台で活躍するトップ選手たちがどのような用具を選び、どのように裏面を使いこなしているのか、いつも強い関心を寄せています。
そこで今回は、裏面打法を駆使するトッププレーヤーの用具について考察します。
選手のプレースタイルや用具の組み合わせを「4つのタイプ」に分類しました。裏面打法の用具選びで迷っている方のヒントになれば幸いです。
※選手名は数多く登場するため、敬称を省略させていただきます。何卒ご了承ください。
※紹介する選手の使用用具・世界ランキングについては、卓球用具レビューの専門サイト「卓球ナビ」様の情報を参照・引用しています。
参照元:卓球ナビ
2.【タイプ別】裏面打法を駆使するトップ選手の使用用具

裏面打法を高いレベルで操る選手たちは、一体どのような用具セッティングで戦っているのでしょうか。
ここでは選手の特徴を紐解き、プレースタイルを4つのタイプに分類しました。
※各タイプの呼称は、筆者が独自の視点で命名したものです。
※世界ランキングは2026年4月27日現在のデータを参照しています。
(1)『癖球とパワー裏面ドライブの融合』タイプ
フォア面:粘着系ラバー(裏ソフト)
バック面:テンション系ラバー(裏ソフト)
世界を何度も制覇した中国ペンホルダー選手の標準的な組み合わせです。フォア面の粘着ラバーで回転量のあるドライブで押し込み、裏面打法はパワー不足を補うべくテンション系ラバーを使用しています。
【代表的な選手】
許昕(XU Xin)(中国)※国際大会は未出場(2026年4月末現在)
ラケット:インテンシティNCT(スティガ)5枚合板
フォア面:キョウヒョウ3国狂ブルー(紅双喜)
バック面:テナジー05(バタフライ)
※以下のスーパープレー集を見ると、そのほとんどがフォアハンドの芸術的なプレーで処理されていることに驚かされます。今後、これほどまでに観客を魅了する豪快なプレーヤーは、二度と出現しないかもしれませんね。
王皓(WANG Hao)(中国)引退
ラケット:キョウヒョウ 皓 3(紅双喜)5枚合板(特殊素材入り)
フォア面:天極NEO3(紅双喜)
バック面:ブライス スピード(バタフライ)
いわずと知れた裏面打法の「神様」的存在です。従来のペンホルダーの代名詞であった「ショート」をあえて一切使用せず、シェークハンドのバックハンドを凌駕するほどの圧倒的な裏面打法を駆使したプレースタイルを確立。そのスタイルを武器に、長年トッププレーヤーとして世界の頂点に君臨しました。
※王皓選手の代名詞である、豪快なバックハンドドライブをご堪能ください。
(2)『癖球(クセダマ)炸裂』タイプ
フォア面:粘着系テンションラバー(裏ソフト)
バック面:粘着系テンションラバー(裏ソフト)
両面粘着系テンションラバーを使用し、粘着ラバー特有の『癖球』を駆使して勝負します。
【代表的な選手】
フェリックス・ルブラン(フランス)世界ランク4位
ラケット:ハイブリッドAC インサイド(TIBHER)7枚合板
フォア面:ハイブリッド K3(TIBHER)
バック面:ハイブリッド K3(TIBHER)
現時点で、世界最高峰のペンホルダー選手と言えるでしょう。
以下の動画では、パワーヒッターのカルデラノ選手(ブラジル)を相手に、台から下がることなく凄まじい打ち合いを繰り広げています。試合のテンポが非常に速く、瞬時に戦術を切り替える頭の良さを感じさせます。
フェリックス・ルブラン選手の魅力については、別記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
邱党(チウ・ダン)(ドイツ)世界ランク10位
ラケット:不明
フォア面:ディグニクス09C(バタフライ)
バック面:ディグニクス09C(バタフライ)
裏面打法を語る上で、この選手を紹介しないわけにはいきません。 先ほど紹介したフェリックス・ルブラン選手と同じ「両面粘着系テンションラバー」タイプですが、チウ・ダン選手のプレーはまた一味違います。
一言でいえば、「現代ペンホルダーの教科書」です。 無駄な動きが一切なく、プレー全体が非常に滑らかで洗練されています。個人的には、我々中高年が裏面打法を習得・改善する際の手本として、最も最適かつ目標とすべき選手だと考えています。
以下の動画では、チウ・ダン選手とフェリックス・ルブラン選手の直接対決(ダイジェスト)をお届けします。 プレースタイルの「対照的な両者」を比較しながら、ぜひその違いを味わってみてください。特に、チウ・ダン選手の精度の高いストレートコースへの裏面攻撃は必見です。
(3)『両ハンドパワードライブ』タイプ
フォア面:テンション系ラバー(裏ソフト)
バック面:テンション系ラバー(裏ソフト)
両ハンドに弾むテンション系ラバーを駆使した威力重視のドライブで、ぐいぐい押し込んでいくタイプです。
【代表的な選手】
黄鎮廷(WONG Chun Ting)(香港)世界ランク50位
ラケット:バタフライ特注
フォア面:テナジー05ハード(バタフライ)
バック面:ディグニクス05(バタフライ)
黄鎮廷(香港)選手は、世界ランク最高6位までいった強豪です。34歳となった現在も、香港代表として確約しています。特にダブルスでは、現在でも上位に進出する実力者です。
以下の動画では、チウ・ダン選手との対決をお届けします。
松下大星(日本)世界ランク481位
ラケット:インナーフォース レイヤー ZLC – CS【特注(変形)】
フォア面:ディグニクス 09C(バタフライ)
バック面:ザイア03(バタフライ)
本来であれば、松下選手は「粘着系テンションラバー」と「テンション系ラバー」の分類となりますが、ここで紹介することをご容赦ください。
松下選手は、日本国内では最強クラスのペンホルダープレイヤーです。なお、静岡ジェードで3年間活躍し、ペンホルダーの可能性を示し続けた松下大星選手は、2026年4月17日にチームを離れることが発表されました。貴重なペンホルダーの実力者として、これからの彼の新たなステージでの活躍も期待されます。
以下の動画では、韓国代表のチャンウジン選手との対戦をお届けします。
(4)『スマッシュと裏面打法の融合』タイプ
フォア面:テンション系ラバー(表ソフト)
バック面:テンション系ラバー(裏ソフト)
このタイプの選手は、フォアハンドはスマッシュ系の強打で押し込み、バックハンドは裏ソフトラバーを使用した裏面打法で弱点のバックハンドを補っています。
【代表的な選手】
カンテロ(スペイン)ランク外
ラケット:サムソノフ フォースプロ(TIBHER)7枚合板
フォア面:レイストーム(バタフライ)
バック面:エボリューション EL-P(TIBHER)
かつては、スペイン代表として活躍した名選手です。参考までに、2017年の世界卓球ダブルスに出場していた動画を掲載します。
小塩悠菜(日本)世界ランク176位
ラケット:カルテット VFC(ヴィクタス)5枚合板(特殊素材入り)
フォア面:VO>102(ヴィクタス)(表ソフトラバー)
バック面:V>15 Extra(ヴィクタス)(裏ソフトラバー)
正確にはペンホルダーグリップではありませんが、その非常に独創的なグリップと、類を見ないプレースタイルに深い敬意を込め、ここでご紹介します。
小塩悠菜選手の独特なグリップや、あっと驚くような戦術・プレースタイルについてさらに深掘りした内容は、以下の記事で詳しく紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。
3.まとめ

いかがでしたでしょうか?
どの選手も非常に個性的で、卓球というスポーツの奥深さを改めて感じさせてくれます。
世界ランキング上位の大半がシェークハンドという現状はペンホルダーファンとしては寂しくもありますが、現代卓球においてペンホルダーの新たな可能性を切り拓いている選手たちは確実に存在します。
ドイツのチウ・ダン選手(WR10位)、フランスのフェリックス・ルブラン選手(WR4位)、そして日本勢では松下大星、小塩悠菜といった選手たちの活躍から、今後も目が離せません。
また、中国の薛飛(WR77位)選手も、中国の層の厚さに阻まれてはいますが、実力は紛れもない世界トップレベルです。再び世界の舞台で彼らが躍動する姿を期待せずにはいられません。
ペンホルダーが再び卓球界の覇権を握る日を夢見て――。 私もペンホルダーを愛する一人として、日々の裏面打法の練習を楽しみながら続けていきたいと思っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。








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