1.はじめに
私は約20年前から、中国式ペン(または反転式ペン)の裏面に裏ソフトラバーを貼り、裏面打法の技術を磨いてきました。
当時の私は、「裏面打法に表ソフトラバーはありえない」と考えていました。しかし、実際に約2か月間にわたり実戦形式の練習と約80試合の練習試合を重ねた結果、多くの技術で予想以上の手応えを感じることができました。
※今回の検証では、約2か月間にわたり約80試合の練習試合を行っています。
その検証から数年が経過した現在でも、「裏ソフトラバー」と「表ソフトラバー」は、どちらが優れているというよりも、プレースタイルによって向き・不向きがあるという考えは変わっていません。
「裏ソフトラバー」と「表ソフトラバー」のどちらが自分に合っているのかについては、別記事で詳しくまとめていますので、まずはこちらをご覧ください。
本記事では、その続編として、私が実際に表ソフトラバーを約2か月間使用し、約80試合の練習試合を通して感じた各技術の特徴やメリット・デメリットを詳しくご紹介します。
2.使用ラバー「モリストSP(ニッタク)」(表ソフトラバー)

今回、裏面打法用ラバーとして使用したのは、「モリストSP(ニッタク)」です。伊藤美誠選手がシェークハンドラケットのバック面に使用していることでも知られるロングセラーの表ソフトラバーです。
今回の検証で実際に使用した「モリストSP」の価格や販売情報はこちらからご確認いただけます。
このラバーを選択した理由については、別記事で詳しくご紹介しています。本記事では、実際に約2か月・約80試合の検証を通して感じた使用感や、各技術におけるメリット・デメリットを中心にご紹介します。
それでは、各技術を実際に使用して感じたことを見ていきましょう。
3.表ソフトラバーで裏面打法を検証
約2か月にわたり表ソフトラバーを裏面打法で使用し、約80試合の実戦形式の練習を重ねた結果、各技術にはそれぞれ明確な特徴があることが分かりました。
まずは、今回の検証結果を技術ごとに総合評価した表をご覧ください。

ご覧のとおり、ブロックとフラット打ちは非常に相性が良く、特にブロック技術では大きなメリットを実感しました。一方、チキータレシーブは回転量こそ物足りないものの、高い安定性が得られました。また、中陣からの裏面ドライブについては課題が残る結果となりました。
なお、今回使用した「モリストSP(ニッタク)」は、表ソフトラバーの中でも比較的回転をかけやすいラバーです。そのため、本記事の評価は「モリストSP」を使用した場合の検証結果であることを踏まえてご覧ください。
なお、本記事でご紹介するプレースタイルは、反転式ペンのようにラケットを反転させながら表ソフトラバーを使用する戦型とは異なります。裏面打法でバック面の表ソフトラバーを積極的に攻撃へ活用することを前提とした検証です。
それでは、それぞれの技術について詳しく見ていきましょう。
(1)台上裏面チキータレシーブ
結論から申し上げますと、チキータレシーブは十分可能です。
表ソフトラバーなので、ボールを薄く擦るドライブは難しいですが、ラケットをボールに対して厚めにしてインパクトすればしっかりと回転をかけることができます。
(2)裏面3球目攻撃(ドライブ)
当初、表ソフトラバーを使用して最もデメリットを感じた技術が、3球目攻撃でした。
その理由は、下回転サーブを出し、バック側へツッツキで返球されたボールに対して、3球目の裏面ドライブが難しかったからです。
最初は解決策が見つからず苦労しましたが、次の3つを意識することで、思っていたよりも簡単に対応できるようになりました。
- 3球目攻撃だけで得点しようという意識をなくす
- 裏面チキータレシーブのイメージで、厳しいコースへ返球する
- 5球目攻撃を意識したプレーに切り替える
この3点を意識すると、裏面ドライブで一撃を狙う意識が薄れ、不要な力みがなくなりました。その結果、プレー全体に良い流れが生まれ、かえって質の高いプレーができるようになったと実感しています。
(3)裏面ブロック
表ソフトラバーを裏面打法で使用して、最も大きなメリットを感じたのがブロック技術でした。特に実感したのは、次の2点です。
(4)フラット打ち
裏面打法におけるフラット打ち(回転をかけない強打)は、個人的にはチキータレシーブの次に重要な技術だと考えています。
フラット打ちは、表ソフトラバーの特長を最も生かせる技術の一つです。打球時の初速が速く、さらにナックル系の球質になりやすいため、相手にとって非常に対応しづらいボールになります。
また、100%の力で強打しなくても、自然とナックル系の球質になりやすく、相手に十分なプレッシャーを与えられます。そのため、必要以上に力まずプレーできるようになり、精神的にも余裕が生まれました。
(5)その他のメリット
ここまでご紹介した内容以外にも、実際に使用して感じたメリットがあります。
- 練習仲間からは、表ソフトラバー「モリストSP」によるチキータレシーブは、「ボールが滑るように飛んでくるため取りにくい」という評価をいただきました。
- 表ソフトラバーでチキータしたボールは、バウンド後の変化は少ないものの、相手サーブの回転を残した返球ができるため、独特の嫌らしい球質を生み出すことができます。
- チキータレシーブ後に返球されたボールは回転が素直なため対応しやすく、4球目攻撃につなげやすくなります。
- フォア面の裏ソフトラバーとバック面の表ソフトラバーで回転量に大きな差が生まれるため、相手のミスを誘いやすくなります。
(6)デメリット(台から距離を取ると厳しい)
ここまでメリットをご紹介してきましたが、デメリットもあります。
- 中陣からの裏面ドライブは難しくなります。私の技術では、台から下がると、一か八かのフラット打ちか、つなぐボールで対応するのが精一杯でした。
4.留意点
ここまで、裏面打法用ラバーとして表ソフトラバーを使用した際のメリット・デメリットをご紹介してきました。最後に、使用するうえでの留意点をお伝えします。
裏面打法を始めたばかりの方には、表ソフトラバーはおすすめしません。
表ソフトラバーを裏面打法用として使用するのであれば、少なくともバック側への下回転ツッツキに対して、安定して裏面ドライブを打てる打球感覚を身につけてから挑戦することをおすすめします。
私自身も、裏面ドライブが安定しない時期に表ソフトラバーを試したことがありましたが、その当時はまったく使いこなすことができませんでした。
これから裏面打法に挑戦する方は、まずは極薄ラバーで打球感覚を磨くことが、上達への近道だと考えています。
なぜ、極薄ラバーが上達の近道と考えているかについては、以下の記事で詳しく説明しています。
5.まとめ
各技術に関する評価を表にまとめましたので、参考にしてみてください。

今回の検証を通じて、裏面打法用ラバーとして表ソフトラバーには大きな可能性があると実感しました。
特に印象的だったのは、フォア面の裏ソフトラバーとバック面の表ソフトラバーで回転量や球質に大きな差が生まれることです。その変化によって相手のタイミングや判断を狂わせ、これまでには見られなかったミスを誘う場面が数多くありました。
約2か月の検証を経て表ソフトラバーを使いこなせるようになると、両面裏ソフトラバーを使用していた頃とほぼ変わらない勝率を維持できました。その背景には、この回転差による戦術的な優位性も影響していたのではないかと考えています。
特に、フォア面の裏ソフトラバーによる強い回転と、バック面の表ソフトラバーによるナックル性のボールを組み合わせることで、相手は毎回異なる回転量への対応を迫られます。その結果、相手の判断を迷わせ、自分のペースで試合を進めやすくなっていたことも、勝率を維持できた一因ではないかと考えています。
また、ペンホルダーで裏面打法を駆使する選手自体が少なく、さらに裏面に表ソフトラバーを使用する選手は非常に珍しいため、対戦相手が十分な経験を持っていないことも一つの強みになっていたと感じました。
一方で、このプレースタイルは単に変化で相手を翻弄するだけではありません。フォア面の強い回転とバック面のナックル性のボールを使い分けながら、常に相手の反応を見て試合全体の流れをコントロールしたい選手に向いている戦型だと感じています。
このプレースタイルは、自分から強い回転で押し切る卓球よりも、回転差や球質の変化を利用しながら相手の判断を迷わせ、試合全体をコントロールしたい方に向いていると感じました。
その後、私は両面裏ソフトラバーへ戻しましたが、今回の検証によって得た経験は、現在のプレースタイルにも大きく生かされています。
「自分から積極的に攻めたい」のか、「相手のリズムを崩して試合をコントロールしたい」のかによって、最適なラバーは変わります。どちらが自分に合っているか迷われている方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
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