1.はじめに
2024年7月26日から8月11日まで、第39回夏季オリンピック(パリ)が開催される。
日本から男女ともにシングルスで出場できる選手は各2名。
団体戦は上記2名に加え、シングルス代表候補とダブルスが組め、団体戦でシングルス及びダブルスにて活躍が期待できる選手1名となっている。
男女ともにシングルス2名の選出は、日本卓球協会が定めた各大会の順位に応じたポイント(選考ポイント)の合計数上位2名が選出される。
女子の選考ポイントランキング【最終】(2024年1月29日時点)
(世界ランキングは、2024年5週目データ)
1位:早田 ひな(910.5P)(世界ランク:5位)
2位:平野 美宇(536.0P)(世界ランク:18位)
3位:伊藤 美誠(471.5P)(世界ランク:10位)
4位:張本 美和(430.5P)(世界ランク:16位)
5位:木原 美悠(404.0P)(世界ランク:25位)
1月に開催された全日本選手権までの結果で選考ポイントが確定した。
上記のとおり、早田選手、平野選手の2名がシングルス出場権を獲得。
※本記事では、選手の敬称を省略しています。ご容赦ください。
2.オリンピック出場権を獲得
2024年2月16日(木)~25日(日)にかけて開催された、世界選手権大会(団体)において日本女子チームは準優勝となり、みごとパリオリンピックへの団体戦及びシングルス2名の出場権を獲得した。
なお、世界選手権大会(団体)ではベスト8以上で出場権を得られる。今回の大会でパリオリンピック出場権を獲得した女子チームは以下のとおり。
- 日本(準優勝)
- 香港(ベスト4)
- 韓国(ベスト8)
- チャイニーズタイペイ(ベスト8)
- ルーマニア(ベスト8)
ちなみに、以下のチームもベスト8入りしているが、大会前に既に出場権を獲得済み。
- 中国(優勝)※大陸予選で獲得済み
- フランス(ベスト4)※オリンピック開催国
- ドイツ(ベスト8)※大陸予選で獲得済み
3.3人目の発表(2/5)(団体戦メンバー)
パリオリンピック3人目の団体戦メンバーは、2月5日(月)に発表された。
団体戦は上記2名に加え、シングルス代表候補とダブルスが組め、団体戦でシングルス及びダブルスにて活躍が期待できる選手1名とされている。
つまりシングルス出場のための選考ランキングポイントのような明確な基準はない。
選出に当たっては、実績十分な伊藤美誠選手、成長著しい張本美和選手の両名どちらを選ぶかが焦点となっていたと思われる。
そして、3人目に選ばれたのは、張本美和選手
伊藤選手は、現時点では万全な状態とは言えないが、卓球王国中国では「大魔王」と言われるほど実績十分な選手。
張本選手は、若干15歳(2024年1月現在)と思えないキレのあるプレーを見せていて、世界ランキングもグイグイ上がってきている注目選手。
選出サイドは、選出に相当苦心したと思われるが、最近の張本選手の充実ぶりが評価された形と言えよう。
張本選手の強さは誰もが認めるところであるが、まだまだ若く経験も豊富とは言えない。オリンピックはこれまでの大会とは比較にならないほどのプレッシャーがかかることが容易に想像できる。
オリンピックでどのような結果になろうとも、張本選手という才能豊かな選手を温かく応援しようと思う。
個人的には、選出から漏れた伊藤選手が気がかりである。約2年間の過酷なパリオリンピックシングルスの出場権争いで、心身ともに疲弊しきっていると想像される。
幸い、先に開催された世界選手権(団体)では、伊藤選手も出場し元気な姿と見せてくれている。伊藤選手はまだ23歳である。次のパリオリンピックには出場できないが、世界ランキング1位を目指したいとのコメントもあった。再び、世界のトップ選手との息詰まる試合を見せて欲しい。
4.収穫があった世界選手権大会(団体・釜山)
2月16日(木)~25日(日)にかけて開催された、世界選手権大会(団体・釜山)においては、日本女子チームは準優勝であったが、内容が非常に良く、ここまで絶対王者中国を追い詰めた団体戦は、近年なかった。
以下のとおり、世界ランク最上位のメンバー相手に互角の戦いを演じてくれた。普通だったら「こんなん勝てるわけない」と考えてしまうほどの反則みたいなメンバーだ。
特に、世界ランク1位の孫穎莎は、中国人選手の中でも別格の強さを見せつけた。
(ちょっと強すぎるのでは・・・)
第1試合:✖張本美和(16) ー ◎孫穎莎(1)
第2試合:◎早田ひな( 5) ー ✖陳夢(3)
第3試合:◎平野美宇(18) ー ✖王芸迪(2)
第4試合:✖早田ひな( 5) ー ◎孫穎莎(1)
第5試合:✖張本美和(16) ー ◎陳夢(3)
※カッコ内:世界ランキング(2024年2月20日現在)
早田選手、平野選手の活躍は素晴らしいものがあり大舞台で勝利を挙げたことは、大きな自信になる大収穫と言えるだろう。
更に、若干15歳で抜擢された張本選手が、この大舞台をパリオリンピック前に経験できたことは、絶大な収穫であったと断言できる。
当然ながら、中国チームは日本チームを最も危険なチームとして、徹底的に対策してくるであろうから、パリオリンピックも大変な戦いになることは想像できるが、今回のような大熱戦を期待して止まない。
5.おわりに
選考ポイントによる約2年間のパリオリンピックシングルスの出場権争いは、一般人の私では想像できないくらい過酷なものだったのではないかと思うが、世界選手権大会(団体・釜山)での選手たちの躍動をみて、頼もしさを感じた。
パリオリンピックでの団体戦は、ダブルスもあるので更に面白い戦いが期待できる。
個人的には、ダブルスがあるパリオリンピックの方が、シングルのみの団体戦より中国を倒すチャンスが大きくなる気がしている。言うまでもないが、しっかりとしたダブルスの戦略的な強化も期待している。
夏のオリンピックが楽しみである。
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