1.はじめに
みなさんは、試合で緊張して、思うようなプレーができなかった経験はありませんか?
卓球は、試合に出なくても十分に楽しめるスポーツです。しかし、自分の実力や今の自分の立ち位置を確認する意味でも、試合は貴重な機会と言えます。
かつての私は、試合になると過度に緊張してしまい、満足なプレーができなくなることがありました。あまりに緊張しすぎて、サーブすらまともにできないこともあったのです。
今でも試合では多少緊張しますが、試合における緊張についていろいろと工夫した結果、以前に比べるとだいぶ改善できました。
そこで今回は、なぜ必要以上に緊張してしまうのか、そして、どのような対策ができるのかについて考えてみたいと思います。
2.過度な緊張の要因とは?

まず、大前提として認識しておきたいことがあります。それは、だれしも試合では緊張するということです。そして、適度な緊張は集中力を高め、良いプレーをするために必要なものでもあります。
問題なのは、過度に緊張することで、本来の実力を発揮できなくなってしまうことです。
では、なぜ私たちは過度に緊張してしまうのでしょうか。ここでは、その要因の一例を挙げてみます。
(1)勝ち負けを意識してしまう
勝ち負けは結果であって、自分ではどうしようもない未来に起こることです。「勝ちたい」「負けたらどうしよう」と考えてしまうと、プレーそのものではなく結果に意識が向いてしまい、不要な力みが生じます。いわゆる緊張状態につながってしまうのです。
(2)第三者を意識してしまう
普段、気心の知れた仲間とばかり練習していると、実戦では見ず知らずの人の目が気になってしまうこともあります。
「負けたら恥ずかしい」「かっこいいところを見せてやろう」などと考えてしまうと、プレー以外のことに意識が向き、不要な力みが生じます。私自身、普段なら打たないような無理打ちをしたり、思いもよらない凡ミスをしたりと、苦い経験があります。
(3)非日常的な空間
試合では、使い慣れない試合会場、知らない対戦相手、大勢の見知らぬギャラリーなど、普段とは異なる環境に身を置くことになります。
そのような環境で、普段通りに伸び伸びとプレーできるとは限りません。むしろ、いつも通りにプレーできることの方が当たり前ではないのです。
3.対処方法(普段の練習における対策)
本番の試合当日だけ対策して、実力を発揮するのは簡単ではありません。普段の練習から対策を取り入れ、練習と本番のギャップを小さくすることが重要です。
ここでは、対処方法について一例を挙げます。

(1)グリップの力を抜くことを意識する
上級者は、実に柔らかくラケットを握っています。良いプレーには、余計な力を入れずにラケットを握ることが欠かせません。試合で実践するためにも、普段の練習から意識して習慣づけましょう。
(2)ボールに意識を向ける
本番では「負けたら恥ずかしい」「カッコよく決めよう」など、無意識に余計なことを考えてしまいがちです。そんなときは、ボールを見ているつもりでも、十分に集中できていないことがあります。
普段の練習から雑念を減らし、目の前のボールに意識を向ける訓練をしてみましょう。私にとっては、瞑想に近い感覚です。
(3)足から動くことを意識する
緊張すると身体がこわばり、手先だけのプレーになってしまうことがあります。ラケットを強く握りすぎて凡ミスが増え、ミスを恐れてさらに硬くなるという悪循環にもつながります。
こうした状態を防ぐため、普段から足を使って動き、ボールを打つことを意識しましょう。
(4)ルーティンを取り入れる
ルーティンとは、試合前やプレー中に決まった動作を行い、パフォーマンスの向上を図ることです。ウォーミングアップやサーブ前にボールをバウンドさせるなど、普段から行っている動作を本番でも繰り返すことで、気持ちを落ち着かせ、普段通りのプレーにつなげます。
ルーティンについては、こちらの記事で紹介していますので、興味のある方はぜひご覧ください。
4.対処方法(試合当日にやること)

(1)雑念が余計な緊張を生むと認識する
試合では「負けたらどうしよう」など、無意識にさまざまな思考が浮かびます。まずは、こうした雑念が、良いプレーを妨げる余計な緊張につながることを認識しましょう。
(2)普段から取り組んできた緊張対策を実践する
普段の練習で取り組んできた緊張対策を、試合当日も実践しましょう。グリップの力を抜く、ボールに意識を向ける、足から動く、ルーティンを取り入れるなど、練習で身につけてきたことを本番でも実行するのがポイントです。
(3)緊張する自分を受け入れる
非日常である試合で、練習どおりのプレーを100%発揮するのは難しいものです。実力を70〜80%発揮できれば上出来と考え、緊張する自分を受け入れましょう。
トッププレーヤーや強豪校の選手は、試合に近い緊張感の中でも実力を発揮できるよう、普段から練習を積んでいるのです。
(4)ウォーミングアップを怠らない
試合開始直後からしっかり動けるよう、自分に合ったウォーミングアップを行い、身体の緊張をほぐしておきましょう。
個人的におすすめなのが、身体の力を抜いた状態で、手首をブラブラと数十秒振ることです。簡単な動作ですが、手首の力みをほぐすために、試合前にぜひ試してみてください。試合前に手首が硬くなっていると、プレーに悪影響を与えることもあるからです。
【コラム】緊張すると、自分の変化にも気づけなくなる
私自身、最近の試合で、緊張によって自分でも気づかないうちに、いつもと違うプレーをしていたことがありました。
「勝ちたい」という気持ちが強くなりすぎると、私は台との距離が近くなる傾向があります。
ほんの数センチの違いなのですが、これが意外に大きな影響を与えます。サーブを出した後、いつもより台との距離が近いため、ボールを待つ位置が窮屈になってしまうのです。
ところが、試合中は緊張しているため、その変化に気づきません。「なんか、いつもと違うな……」と感じながらも、そのままズルズルとプレーを続けてしまい、思うようなプレーができない。そんな経験がありました。

緊張すると、自分を見失い、ちょっとした自分の変化にも気づけなくなることがある。
だからこそ、試合中に「なんかおかしい」と感じたときは、一度立ち止まり、立ち位置や姿勢など、普段と何か違っていないかを確認することも大切なのだと思います。
5.さいごに
どんなに普段の練習で技術を高めても、試合で緊張して実力を発揮できなければ、悔いが残るものです。
何の対策もせず、非日常ともいえる緊張感あふれる試合で実力を発揮するのは、至難の業です。
だからこそ、普段の練習と本番の試合とのギャップを小さくする努力が必要になります。
普段の練習から試合をイメージし、雑念にとらわれず、目の前のプレーに集中できるよう準備しておくことが重要なのです。
私自身、これらの取り組みを常に実践するのは正直難しいことです。それでも、普段から意識することで、以前のように過度な緊張に振り回されることは少なくなりました。
過度な緊張で実力を発揮できないと悩んでいる方は、まず一つだけでも取り組んでみることをおすすめします。
以上となります。みなさまの参考になれば幸いです。
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