1.はじめに
今回は、以前に書いた「サービストスをめぐって試合中に険悪な雰囲気になった話」を、2026年の最新ルールを加えてリライトします。
3年前の記事では、サービストスの高さや、選手自身が自分のサービス違反に気づきにくいことについて書きました。
ところが2026年、サービストスについて「30°」という具体的な基準が競技規則に明文化されるという大きな動きがありました。
そこで今回は、当時の実体験を振り返りながら、サービストスの30°ルールについても分かりやすく解説します。
2.相手チームの違反しか見えない?

ある休日、仲間と真夏の団体戦に出場した時の実話です。
相互審判制だったため、私は第1試合の審判を担当しました。
サービストスをめぐってお互いに注意し合う状態となり、次第に試合は険悪な雰囲気になってしまいました。
3.「他人の違反」だけを見てはいけない

今回の話で私が一番伝えたいのは、相手のサービス違反を気にする前に、まず自分自身のサービスを確認することも大切だということです。
サーブの違反は、自分では意外と気づきにくいものです。
私自身も以前、無意識のうちにサーブのインパクト位置が台の中に入ってしまっていたことがあり、チームメイトから指摘されて修正した経験があります。
そのため私は、ときどき「私のサーブは違反していない?」と他の人に確認するようにしています。
今回取り上げるサービストスの30°についても、まさに自分では気づきにくいポイントの一つだと思います。
4.サービストスは「ほぼ垂直」から「30°以内」へ
従来のITTFのサービス規則では、ボールを「nearly vertically upwards(ほぼ垂直に上向き)」に投げ上げることが定められていました。
しかし、「ほぼ垂直」と言われても、具体的に何度までなのかは分かりにくいですよね。
そこで、Table Tennis Review(TTR)によるサービス判定では、サービストスの角度について垂直方向から最大30°という具体的な基準が用いられるようになりました。
そして2026年、この30°という基準がITTFの競技規則に明文化されることになりました。
つまり、TTRで測定した場合は、30°以内なら基準内、30°を超えるとサービスフォルトという考え方です。
実際に、国際大会でもサービストスの角度が問題となり、TTRによる判定が行われたケースがあります。
下の動画は、張本智和選手がサービストスについてTTRを要求した場面です。判定ではトスの角度が31.94°とされ、30°を超えていたため、サービスフォルトの判定は覆りませんでした。
5.なぜ「30°」なのか?2026年のルール改正
では、なぜ「30°」という基準が設定されたのでしょうか。
30°という数字そのものに、物理学的な特別な意味があるわけではありません。
従来の「ほぼ垂直」という表現だけでは、サービスのトスがルールに適合しているかを客観的に判断することが難しいため、具体的な判定基準として30°が設定されたと考えると分かりやすいでしょう。
そして2026年、サービストスについて大きなルール改正が行われました。
2026年5月3日に開催されたITTF年次総会(AGM)では、サービス規則に「垂直方向から30°以内」という基準を明文化する改正案が提出されました。
この改正案は必要な賛成を得て可決され、これまでTTRで用いられてきた30°という基準が、競技規則にも明文化されることになりました。
つまり、「2026年になって突然30°というルールができた」のではなく、すでにTTRで使われていた基準が、競技規則に正式に反映されたという流れです。
なお、実際の大会では、TTRが導入されているかどうかによって、30°という基準の扱われ方が異なります。
その違いを簡単に整理すると、次のようになります。

6.その他のサーブ時の注意点

サーブに関するルールは、これまで何度も整備されてきました。
そのため、昔から卓球をしている方の中には、長年身についたサーブが現在のルールに合わず、知らないうちに違反しているケースもあります。
「昔からこうしているから大丈夫」と思わず、現在のルールを確認することも大切です。
実際の国際大会でも、サーブのインパクトが隠れているかどうかについて、TTRが利用されたケースがあります。
下の動画は、早田ひな選手が対戦相手のサーブについて、インパクトが隠れているとしてTTRによる確認を申請した場面です。TTRによる判定の結果、早田選手の申請が認められました。
7.まとめ
卓球のサーブには、さまざまなルールがあります。
今回紹介したサービストスについても、2026年には「30°」という具体的な基準が競技規則に明文化されました。
今回の話のきっかけとなったのは、3年前に参加した団体戦で、サービストスをめぐって相手チームと険悪な雰囲気になったことでした。
しかし、私自身も以前、サーブの違反をチームメイトから指摘されて修正した経験があります。
だからこそ、相手のサービス違反を気にする前に、まず自分自身のサーブがルールに違反していないかを確認することが大切だと思います。
自分のサーブをスマートフォンなどで撮影して、客観的に確認してみるのもよいでしょう。
ルールを守ることは、相手のためだけではありません。お互いが気持ちよくプレーするためにも、正しいサービスを身につけておきたいものです。
そして、いつも試合で審判をしてくださる方にも感謝したいと思います。
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コメント
質問です
サーブが隠れているといってレシーバーがプレーをやめてTTR要求する場面を目にしました
確認するとインパクトの瞬間がバッチリ見えていたのにフォルトにされていました
インパクトとは関係がないところでボールが一瞬見えなかっただけです
なぜこれはだめになるのでしょうか
お読みいただきありがとうございます。
ご質問の疑問は、もっともだと思います。
「インパクトの瞬間はボールが見えていたのに、なぜ?」と思いますよね。
ポイントは、サービスの判定はインパクトの瞬間だけを見るわけではないということです。
サービスでは、ボールを投げ上げてからインパクトするまでの間、レシーバーからボールが隠されていないことが求められます。
そのため、インパクトの瞬間にはボールが見えていても、その途中で身体や腕などによってボールが一瞬隠れていた場合、サービス全体として「ボールを隠した」と判断される可能性があります。
ただし、「一瞬でも見えなくなったら必ずフォルト」という意味ではありません。
実際にどのような状態だったのかを確認したうえで、最終的には審判が判断します。
ですので、今回ご覧になった場面も、映像を確認しない限り「その判定が正しかった」とまでは言い切れません。
「インパクトが見えていたのになぜ?」という疑問は、サービスの判定がインパクトの瞬間だけではなく、ボールを投げ上げてから打つまでの一連の動作を対象としていると考えると、理解しやすいと思います。
トス上げてから打球するまでずっと見えていないといけないってルールですからねー。
最近TTRも運用が少し変わって、ボールが半分以上隠れてしまったらフォルトになるみたいです。(世界卓球の戸上-フランチスカ戦みたいな、超絶ギリギリ見えてるだけサーブは今後フォルト扱い)
そのうえインパクトの瞬間はボールがフルで見えていなければダメだと。
こんなのTTR無しでどうやって判断できるんでしょうか
そうなんですよねー💦
TTR運用では、より厳格にサービスを判定する方向になっているようですが、あくまでTTRを使った運用でのルール適用なので、TTRのない一般的な試合で、そこまで厳密に「一瞬ボールが隠れた」「半分以上隠れた」と判定するのは、実際にはかなり難しいですよね。
特に、インパクトの瞬間だけならまだしも、トスを上げてから打球するまでの一連の動作を細かく確認するとなると、審判の目視だけでは限界があると思います。
その意味でも、現在のTTRの運用自体が、まだ試行錯誤しながら基準を整理している段階なのかな、という印象があります。
個人的には、TTRがある試合とない試合で、選手のサービスの出し方まで変わってしまうことも少し心配です。
「TTRがあるときは厳しく判定されるから、そこは避ける。でもTTRがないなら、ルールぎりぎりを攻めても大丈夫」というような考え方が出てしまうと、同じルールなのに試合によってサービスの実質的な基準が変わってしまいますからね。
選手にとっても審判にとっても、もう少し「こういう場合はフォルト」という基準が分かりやすく、TTRの有無にかかわらず、できるだけ同じように運用できるようになっていくといいですね~。