1.はじめに
卓球の試合で思ったようなプレーができなくて、用具を変えたくなることはありませんか?
私の場合は、格上の相手に太刀打ちできずに敗戦したときなどに、すぐに「他に良いラケット・ラバーはないかな?」と模索したくなります。
しかし、卓球というスポーツは非常に繊細で、特に、ラケットやラバーの選択は選手のパフォーマンスに大きな影響を与えます。したがって、用具を頻繁に変更することは、選手の技術向上を妨げる要因となってしまう危険性があります。
この記事では、用具の頻繁な変更によるデメリットに加え、新しい用具を検討する際の注意点について考察します。
2.対象となるプレーヤー
この記事は特に打球感覚が磨かれていない初心者や中級者、練習時間が確保できない社会人等に向けた内容となります。
(1)初心者の方
初心者の方は、基本技術をしっかりと身につけることが重要です。用具に頼るのではなく、まずは正しいフォームや動作を習得する必要があります。
(2)中級者の方
中級者の方は、実戦での使用を通じて用具の特性を理解し、自分が求めるプレースタイルと一致させていく必要があります。新しい用具を試す際には、以前の経験をリセットし、客観的に評価する姿勢が求められます。
(3)練習時間が確保できない社会人等
社会人の方々は練習時間の確保が本当に難しいと思います。従って、効率的な練習を行うために自分にとって重要な技術に集中して練習を組み立てる必要があります。
以前の自分自身も含め、用具選びに迷走し技術向上に重きを置けていないプレーヤーをよく見かけます。
3.上達に必要不可欠な要素
卓球競技の技術向上させるためには、あなたは何が重要だと思いますか?
私は、ラケットでボールを打つ際の『打球感』が最重要だと考えています。
卓球は、単にボールを遠くに飛ばしたり、速いボールを打てれば勝てるスポーツではありません。卓球は、プレーの瞬間瞬間に自分がイメージしたボールを相手コートに出来るだけ正確に送る必要があります。
その際に求められるのが『打球感』です。
ラケットやラバーを頻繁に変更すると、そのたびに当然ながら新しい道具に慣れる時間が必要になります。結果として、打球感覚が磨かれず、上達のために必要以上の時間を要する結果となります。
ちなみに私の場合は、週に1~2回の練習時間を確保するのが精一杯の状況ですが、ラバーを変更すると少なくとも自分のプレーと用具の特性を一致させるのに、少なくとも3か月程度は必要だと感じています。
4.打球感が磨きにくい理由
(1)実戦で使用する必要性
私が常々感じていることなのですが、新たに試すラケットやラバーをしっかりと評価するためには、実戦での使用が不可欠だと考えています。
新しいラケットやラバーを試す際、練習だけではその性能を十分に引き出すことはできません。試合でのプレッシャーや相手との駆け引きの中で使ってみて初めて、用具の特性を理解し、自分のプレースタイルとの親和性を確認できると考えています。
緊張感がない状態での軽い試打や知人のラケットを使ってみて「あっ、これいいな!」と思うことはありますが、緊張感の場で使ってみたら「全くダメだった・・・」となることは珍しくないのです。
したがって、頻繁に用具を変更してしまうと、試している用具が信頼できる相棒になるかを確かめる前にやめてしまうことになるので、非常にもったいなく感じるのです。
(2)気温や湿度による影響
会場の気温や湿度がラバーの弾みやひっかかりに大きく影響します。湿度が高いとラバーの摩擦力が低下しますし、気温が低い日は弾みが悪くなるなど打球感は日々変化するので、その都度微調整を求められます。
同じ用具を使用している時でさえも打球感が変化することを考えると、頻繁に用具を変えていると、日々変わる打球感覚の変化を感じ取ることが難しくなってしまいます。
5.勝率が一時的に落ちる覚悟はあるか?
新しい道具の特性に適応するまでの間、一時的にパフォーマンスが低下し、勝率が落ちることがあります。特に試合でのプレッシャーの中では相当なストレスを感じます。新しい用具に慣れる過程で、技術や戦略を再度作り直す必要もでてくるかもしれません。
用具を変える際は、新しい用具でできるようになることをイメージして、出来るようになるまで諦めずにやり抜く覚悟が必要です。明確なイメージなしで安易に用具を変えると、用具沼にはまります。
(個人的には、用具に対する好奇心が非常に強く、敢えて用具沼の世界におられる方には敬意を示します。)
6.新しい用具の評価は難しい
新しい用具を試す際、どうしても以前使っていた用具の感覚が影響を及ぼします。特に、以前の用具に慣れている方は、新しい用具の特性を正しく評価することが難しくなってしまいます。
新しい用具を試す際には、以前の経験を一旦リセットし、客観的に評価する姿勢と忍耐力が求められます。
7.自信を失った時の用具変更
試合で負けた時や、自分の技術に自信が持てなくなった時に用具を変えたくなる気持ちは痛いほど理解できます。
特に初心者や中級者は、勝敗が技術の全てだと感じやすく、用具を変更することで何かが変わるのではないかと期待してしまいがちです。
しかし、用具を変えることが必ずしも技術向上につながるわけではなく、むしろ安定した技術を身につけるためには、同じ用具を使い続けることが重要です。焦って用具を変更することは、さらなる混乱を招く可能性があるため、冷静に自分の技術を見つめ直すことが大切です。
8.私自身の経験
私自身も、安易に用具変更を繰り返した結果、調子を落とした経験があります。新しいラバーやラケットを試すたびに、最初は期待感が高まりますが、実際には慣れるまでに時間がかかり、パフォーマンスが安定しないことが多かったです。このような状況が続くと、焦りや不安が募り、さらなる用具変更を繰り返す悪循環に陥りました。結局、調子を戻すまでにかなりの時間を要し、基礎技術の向上が疎かになってしまったのです。
9.まとめ
以上ことから、卓球においてラケットやラバーの頻繁な変更は、経済的な負担を増やすだけでなく、選手の技術向上にも悪影響を及ぼすと考えます。
特に初心者や中級者の方は、まずは基本技術をしっかりと身につけることが重要であり、道具に過度に依存することは危険です。
用具の変更自体は、新しい用具ヘの期待感が膨らみワクワクしますが、全ての要求を満たす用具はありません。また、新しい用具に慣れるまでの間は勝率が一時的に落ちることを覚悟しておく必要があります。
この記事は、特に打球感覚が磨かれていない初心者や中級者、練習時間が確保できない社会人に向けて気付きがあればと思い書きました。皆さまの参考になれば幸いです。
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