1.はじめに
みなさんは、試合で適度な緊張感をもって臨めていますか?
緊張は、決して悪いものではないのですが過度な緊張いわゆる「過緊張」の状態だと、普段の練習では出来ていることも全くできなくなり、試合に出ることが怖くなる危険性もあるのです。
以前の私は、過度に緊張しすぎてガチガチのまま試合が終わってしまうこともあったのですが、色々な角度から対策を講じることにより「過緊張」という状態は回避できるようになっています。
正直に言うと今でも試合の序盤においては、繊細なタッチが必要な技術は手が震えてうまく出来ないことがあります。ですが、試合が進めば気にならなくなる程度にまで克服できています。
私はこれまで様々な適度な緊張を回避するための調整方法をやってきたのですが、今回は特に効果を感じることができた手法について、まとめてご紹介したいと思います。
2.普段の練習等で準備できること
(1)緊張感のある練習・練習試合
普段の練習をリラックスした状態で練習していると、いざ非日常である本番の試合で普段通りのプレーを出来る人はまずいません。
学生の部活動であれば、試合に近づけた試合会場の雰囲気を作り出すことが可能だと思います。例えば試合の日と同じような全体のウォームアップ、試合の時間、トーナメント表を貼りだすなど工夫して、実戦と同じ形式のゲーム練習を本番さながらに行うと良いでしょう。
問題は、私を含めた社会人の場合です。我々社会人は、練習時間の確保が精いっぱいで、学生の部活動のように試合会場の雰囲気を作り出すのは難しいかもしれませんが、練習試合の際は「絶対に負けられない」という気持ちを持って、全力でやるだけでも効果はあります。
一例として私のやり方を紹介します。普段は全く行っていない卓球道場があるのですが、そこでは、毎月小さな大会(道場杯?)を開催しています。そこに単身で乗り込んで、知り合いがほとんどいない状況で試合に臨んでいます。慣れない場所で、初対戦の方ばかりと試合することになるので、かなり緊張した状態で試合をすることが出来ています。
(2)ボールに集中する
当たり前のことに感じかもしれません。ですが、練習中にボールに意識を集中するというごく当たり前な行為にもかかわらず、意外にも長く続けることは難しいのです。少し気を抜くとボールに意識を向けていたことを忘れて他のことを考えてしまいます。
この訓練は、集中力を高める効果もあります。手軽に取り組める手法なので、どれだけ難しいか一度やっていただければご理解いただけると思います。
(3)イメージトレーニング
イメージトレーニングにおいては、自分が得意とするサーブやレシーブからの展開を頭の中でシミュレーションしていきます。
イメージは明確なほど効果があります。私自身は、視覚的なイメージで精いっぱいなのですが、視覚的なイメージ以外にもその他の感覚(音、におい、皮膚感覚等)もイメージできれば更に良いとされています。
毎日継続して5分ほど行うと効果が実感できるはずです。5分と言っても最初はかなり長く感じると思います。この訓練により試合に対する集中力を高めることが出来ます。
(4)ルーティンを取り入れる
ルーティンとは、一般的に、試合前や試合中に決まった動作を行うことで、プレーのパフォーマンスを向上させること言います。
普段から行っているルーティンを慣れない試合会場においても同じように実施し、気持ちを落ち着かせることにより、普段通りのプレーができるように自己をコントロールすることが狙いです。
一般的には、試合前のウォーミングアップやサーブの行う前に一定の動作(ボールをバウンドさせる等)を行います。個人的には、中国選手が徹底して活用している印象があります。
ルーティンについては、他の記事で紹介していますので興味のある方は是非ご覧ください。
3.試合前にできること
(5)会場のトイレを使う
個人的には、もっとも簡単かつ効果が期待できる手法だと感じています。
これは、スポーツの試合以外でも試験会場や面接会場など緊張するような場所で使える手法で、不思議なほど落ち着きを取り戻すことができます。
特に、初めて訪れる会場であれば効果が高いのでおすすめです。
(6)筋弛緩法
筋弛緩法とは、身体の各部位にグッと力を入れて(10秒程度)、その後一気に力を抜いて力が抜けている感覚を感じる(20秒程度)を行う方法です。
この手法を用いると過緊張による震えを緩和できると感じています。グッと力を入れる際は、8割程度で良いです。(以前、力を入れ過ぎて攣りそうになった経験があります。)
詳しくは、協会けんぽ健康サポートのページに分かりやすい解説が掲載されていましたので参考までにご紹介します。
(7)腹式呼吸
もっとも知られている手法と言えるでしょう。いうまでもなく身体の緊張をほぐすことができます。色々なやり方がありますが、ここではごく一般的な方法を挙げておきます。
①座って肩の力を抜く(立位でもOK)
②鼻から息を吸う(約3秒)(丹田を膨らませるイメージ)
③息を止める(約1秒)
④鼻から息を吐く(約6秒)(丹田を膨らませるイメージ)
①~④の繰り返し(少なくとも1分程度は行いたい)
※丹田:ヘソより下のお腹
4.試合中にできること
(8)独り言(セルフトーキング)
これも良くある手法です。ポジティブな言葉を自分自身に使うことにより気持ちを前向きにしつつ、集中力を高める効果があります。
ミスをした後などに、「次は必ず入る!」「サーブは効いている大丈夫!」などの言葉で、自分の意識を次のプレーに切り替えやすくする効果もあります。
なお、「もうだめだ」とか「勝てる気がしない」などのネガティブな言葉は、逆効果になりますので厳禁です。
(9)プレーを楽しむ
「負けるかも」「もうダメだ」と不安が先に立ってしまうと、せっかくの試合を楽しめません。自分がやってみたい作戦やプレーに意識を向けると程よい緊張感を保ちながら試合に集中することができます。
(10)開き直る
『やるだけやって、結果が良くなくても仕方がないと割り切ってプレーしよう。』このように開き直りの気持ちでプレーすることが出来れば、相手が格上であろうと格下であろうと、「負けるかも」という不安はない状態になります。
チャレンジャーになるという意識も類似した考え方だと言えます。
(11)相手に意識を集中する
過度に緊張してプレーしているときは、「相手が全く見えていない状態」になっていることが多いのです。相手を観察していることに意識を集中して、夢中になっていると緊張する暇がないのです。
詳細については、以下の記事で紹介していますので、興味のある方は是非ご覧ください。
5.共通した目的とは?
以上とおり緊張と向き合う対策について挙げましたが、これらの手法には共通した目的があるのです。
『負けたらどうしよう?』と未来を心配することをやめて『今に集中する』。これが共通した目的なのです。
我々の脳は、勝手に色々な心配事を自分の意識に提示してきます。試合においては「不安な気持ち」は不要な要素です。そのことを意識し自分自身をコントロール下に置いて、未来を心配することをやめて、「今に集中する」ことが重要です。
6.おわりに
いかがだったでしょうか?記載した内容は、目新しいことはないと感じた方が多いのではないでしょうか?
ですが、知っているのと、実際にやってみるとの間には大きな差があります。
緊張しすぎで力を発揮できないと感じている方であれば、まずは一つだけでも実際にやってみてほしいと思います。
以上となります。みなさまの参考になれば幸いです。
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