1.はじめに
この本は、2001年に卓球王国から出版された「卓球戦術ノート」の続編です。2012年に出版されており10年以上前に書かれた内容ですが、いまでも役立つ考え方がたくさん書かれています。
今回は、『続 卓球戦術ノート』の中で、特に私が参考になったポイントをピックアップしてご紹介しようと思います。
2.本書について
『続 卓球戦術ノート』は、2012年7月に卓球王国から出版されています。本の内容は、月刊紙である『卓球王国』2003年7月号~2007年5月号までの記事をまとめたものです。
著者である高島規郎氏は、全日本選手権3回優勝し、現役引退後は世界選手権の全日本監督を務めるなど、指導者としても活躍し、卓球理論家としても著名な人物です。
本書では、打法と戦術・戦型別の戦い方・試合で困らないための「対処法」など、卓球に関する考え方について幅広く論じています。
3.ピックアップポイント
役立つ記事が数多くある本ですが、個人的に特に役立つと感じたポイントを3点だけピックアップしてご紹介します。
(1)相手の得意・苦手を考えた戦術が重要
相手のことを何も考えず、試合の前半から様々な種類のサービスを出していくと、ゲームの後半に競った時、どういうサービスを出せば良いかわからなくなる時がある。(中略)一番相手の弱いところに最初から最後まで徹底して出し切る、という狙いを持ったサービスのほうが良いのだ。
引用:卓球王国『続・卓球戦術ノート』
恥ずかしながら学生時代の私は、本書に書かれているとおりの選手でした。何も考えなしに最初から持っているサーブを出し過ぎて、終盤に何のサービスを出していいのか分からなくなることが良くありました。
サービスを出す側は、『慣れられてしまうからサーブを別のサービスを出さいといけない』と考えがちです。ですが、レシーブ側がら考えると苦手だなと感じたサーブは、1試合を通じて最後まで嫌なものです。
私自身、この考えを意識するようになってからは、試合の終盤で何のサーブで出して良いか分からなくなることは大分減ったように思います。
それでも結局、サービスが効かなくなった時にどうするか。普遍的に、もっとも強打されにくいサービスとしては、ミドル前にワンバウンドで出るか出ないかのサービスがある。これはレシーブ強打を受けにくく、非常に安全である。(中略)どういうサービスが効くかわからない場合、いきなりサービスでリスクを背負うよりは、レシーブ、3球目、4球目に持ち込んだ方が失点の危険性は低い。
引用:卓球王国『続・卓球戦術ノート』
サーブの選択に迷って中途半端なサーブになるよりは、サーブ後のラリーを想定して強打されないミドル前に出すという選択は、理にかなっている考え方だと思います。
何のサーブを出していいか分からなくなった時は、自分が得意なサーブを出してしまいがちですが、レシーブ強打されて即失点は避けたいものです。
私の場合は、試合の終盤に有効なサービスがなにかを判断できない時は、ミドル前に主にナックルサーブかYGサーブを出して3球目攻撃を狙うようにしています。
(2)レシーブの考え方
一番重要なのは、相手サービスの第一バウンドがどこに落ちたのかを一瞬で判断し、それから自分のコートのどの位置にバウンドするのかをいち早く予測することだ。(中略)次に、その第二バウンドの直後にラケットを合わせる意識が重要だ。
引用:卓球王国『続・卓球戦術ノート』
この考え方は、ショートサーブ・ロングサーブどちらにも通じる考え方です。
私は、裏面打法でチキータレシーブを多用しますが、この考え方を意識してからはレシーブの精度が格段に向上したと感じています。
個人的には、ロングサーブは球速が速いので、自分のコートのどの位置にバウンドするかの判断をして、素早く打球点にラケットを合わせるのが難しいと感じています。正直、今でも納得いくレシーブは出来ていないのですが、しっかり意識することで上達できると考えています。
(3)ドライブが入らない時の対処法
例えば、シェークハンドにおけるフォアのドライブとバックのドライブでは使う筋肉が違う。そのため、今日はフォアハンドドライブは調子が良いけれどもバックハンドドライブは調子が悪いという状態に陥ることがよくある。(中略)使う筋肉の状態によって、どうしても飛びつけない時や、どうしても回り込めない時はある。それを無理して飛びつきにいったり、回り込みばかりを意識して調子の悪い部分にこだわっていくと、どんどんポイントを失ってしまう。(中略)つまり、自分と格闘してはいけないのだ。
引用:卓球王国『続・卓球戦術ノート』
この『自分と格闘してはいけない』という言葉が一番印象に残りました。
卓球は対人競技なのです。相手に勝つためプレーしています。自分の出来ない部分に意識を集中させてしまうと、そのままズルズルと負けてしまう可能性が高くなります。
しっかりと自分の状況をチェックしながら試合を進め、そのとき調子が良いドライブを探していくべきなのです。
現在、私はファオ前に少し浮いたボールに対するドライブ強打が入らない時に、なんとか入れようと固執する傾向があります。そのような状況に陥ったときは、自分と格闘せずに別の得意なプレーが活かせる別の展開を目指していきたいと考えています。
4.さいごに
10年以上前に購入した本ですが、改めて読んでいると今でも役立つ情報が多く、上達を目指す方には是非読んで欲しいと思える本です。
高島氏の『卓球戦術ノート』シリーズは、3冊発行されています。3冊とも卓球を理論的に考えることの重要性を改めて感じさせてくれます。
※2001年に発行された「卓球戦術ノート」は、絶版となっているため新刊では購入できません。
以上となります。今後の卓球の考え方の参考になれば幸いです。
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