1.はじめに
卓球王国が、年に1回発行している雑誌「卓球グッズ」をご存じだろうか?
「卓球グッズ」は、「卓球グッズ2001」(700円)から始まり、最新号「卓球グッズ2023」(1,000円)が23冊目となる。
※個人的には、2004年~2009年まで600円と最安値だっとことが少し気になる。
通常の毎月発行の雑誌「卓球王国」は、最新のトップ選手の試合結果、技術的なページ、卓球製品、メンタル面の記事など卓球関連の情報をまとめた内容に対し、「卓球グッズ」は、まさに卓球用品に特化した内容となっている。
技術論や戦術論などの記事を一切排除した内容に清々しさを感じる。
今回は、最新号「卓球グッズ2023」についてポイントを絞ってご紹介する。
2.特集「バタフライvsドイツ」
著者は、23年間「卓球グッズ」を読み続けているが、これまでで最も卓球グッズ界の知られざる実情に踏み込んだ記事だと思った。
個人的には、この記事だけで購入して良かったと感じることができた。
「ドイツラバー」とはESN社が生産し、17ブランドに供給するラバーだ。
今まで表に出ることのなかったESNを紹介する初の潜入ルポ。
卓球市場の半世紀を振り返り、バタフライがモンスターブランドになる過程と、そのモンスターに立ち向かったESNという会社に光を当ててみる。「たかがラバー、されどラバー」。卓球選手がこだわり抜く「ラバー」のもう一つの物語だ。
※卓球王国「卓球グッズ2023」より抜粋
記事の紹介文を読んだだけで面白そうだ。
個人的には、最近は『ドイツラバーユーザーが増えてるな』くらいの印象しかなかったのだが、MADE IN GERMANY が一社のラバーサプライヤーによって製造されているなんて全く思いもよらなかった。
そして、17ブランドのラバーに求める性能は全て異なるものであろう。それらに答えられるのは技術力だけではなく、情熱なくしてはできないと記事から感じることが出来た。
興味のある方は、実際の記事を是非お読みいただきたい。
3.新世代 粘着ラバー 個性診断
8種類の粘着ラバーについて公募した10人のテスターによる試打の結果が掲載されている。
テストしたラバーは、以下のとおり
・ディグニクス09C(バタフライ)
・トリプルダブルエキストラ(ヴィクタス)
・ジキル&ハイドH52.5(XION)
・ハイブリッドK3(ティバー)
・ラクザZ(ヤサカ)
・DNAドラゴングリップ(スティガ)
・ブルーグリップC2(ドニック)
・キョウヒョウ3国狂ブルー(紅双喜)
いずれ使ってみようと思っていたラバーから、絶対に使わないであろうラバーまでバリエーションが豊富で、テスト結果も興味深く読めた。
※キョウヒョウ3国狂ブルー(紅双喜)19,800円! 高すぎて意味不明である。
ただし、著者は第三者による試打による感想は、参考にはするが購入する際の判断材料には一切しないようにしている。
なぜなら、プレーヤーの「筋力」「技術力」「打ち方」等により感想は驚くほど異なるからだ。過去の「卓球グッズ」の試打による評価を見ても面白いほど感想が異なる。
加えて、少し試打した評価と、十分使い込んで緊迫感のある実戦で試した評価とは説得力が全く違うと個人的に思っているからだ。
更に言うと、試打させていただいている以上、どうしても正直な感想は言いにくいのではないかと感じている。
試打による感想を否定しているわけではない、記事としてはとても興味深いのだが、鵜吞みにしないようにしているという意味である。
4.木材ラケット再研究
この記事では、木材ラケットの製法や考え方など知らない情報がありとても興味深かった。初めて知ったことを一つだけ挙げると、ラケットの板を貼り合わせる際は、「縦目」と「横目」を交互に合わせて、上板は必ず「縦目」にして、反発力が強くなるようにしているそうである。
最近の「卓球グッズ」では、単に用具の説明だけでなく、ポイントを絞ったマニアックな記事を挟んでくるのがなかなか良いのである。
5.まとめ
毎年発行される「卓球グッズ」をしっかり読んでいれば少なくとも1年間は用具のトレンドに遅れることがない。
また、イメージを膨らませながら読んでいると、すでに自分がその用具を持っているかのような気持ちになるのは私だけだろうか。
月刊の「卓球王国」も面白いが、個人的には「卓球グッズ」がもっと好きである。
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