【新プロジェクト始動!】 50代からの再挑戦を綴る雑記ブログを開設 | Kindle本「裏面打法による逆襲」好評発売中!

【卓球】チウ・ダン選手(ドイツ)の試合を分析|裏面打法を駆使する教科書的プレーヤー

※ 当サイトではアフィリエイト広告を利用しています。また、一部の画像にAI生成・加工を使用している場合があります。

卓球 チウ・ダン選手のプレーを分析 トップ選手の分析・展望
【著者の略歴】

卓球歴: 40年以上(ベテランの視点から執筆)
戦型: 中国式ペン攻撃型(裏面打法を探求中)
運営者: 修士(物理化学)の経歴を持つ「卓球Lab」管理人。
ミッション: 用具の特性や技術のコツを独自の視点で言語化し、卓球の奥深さを伝える情報を発信しています。
-------------------------------------------------------

1.はじめに

みなさんは、ドイツ代表の中国式ペンホルダー「チウ・ダン選手(Qiu Dang、ダン・チウ、邱党)」選手をご存じでしょうか。

ペンホルダーの世界ランキング上位選手は決して多くありません。その中でもチウ・ダン選手は、世界ランキング最高8位まで上り詰めた数少ない中国式ペンホルダープレーヤーです。

裏面打法を駆使する選手ですが、フェリックス・ルブラン選手のような爆発的な攻撃型とは異なり、ミスの少ない台上技術と卓越した試合運びで勝利を積み重ねる、まさに「いぶし銀」のプレーヤーです。

今回は、チウ・ダン選手VSカナク・ジャー選手の試合を中心に、プレーを分析してみたいと思います。

2.チウ・ダン選手(Qiu Dang、ダン・チウ)について(2026年8月3日現在)

卓球選手 チウ・ダン選手(ドイツ)について

チウ・ダン選手は、ドイツ生まれの中国系選手であり、世界でも珍しい中国式ペンホルダーです。ヨーロッパでは数少ないトップレベルのペンホルダーとして活躍しており、裏面打法を駆使した安定感抜群のプレースタイルを武器に、世界ランキング最高8位、現在も11位(2026年8月3日現在)を維持するトッププレーヤーです。

豪快なパワープレーで相手を圧倒するタイプではありませんが、台上技術や試合運びの巧みさで相手を徐々に追い詰めるスタイルは、多くのペンホルダー選手にとって参考になるプレーと言えるでしょう。

3.使用用具

チウ・ダン選手は、バタフライ契約選手です。2025年2月11日現在、ラケットにはアリレート カーボン素材を採用した特注の中国式ペンホルダーラケット、ラバーはフォア・裏面ともにディグニクス09Cを使用しています。ディグニクス09Cは、台上技術やカウンープレーにも優れた粘着性ハイテンションラバーであり、チウ・ダン選手の安定感あるプレースタイルに適した用具構成と言えます。

卓球選手 チウ・ダン選手の使用用具一覧

(1)ラケット

バタフライ製のアリレート カーボン素材を採用した特注ラケットを使用しています。市販品ではなく特注仕様ですが、アリレート カーボン特有の球持ちの良さと反発力を生かし、前陣での安定した両ハンドプレーを支えているものと思われます。

(2)ラバー

チウ・ダン選手は、フォア・裏面ともにディグニクス09Cを使用しています。ディグニクス09Cは、粘着ラバーならではの高い回転性能とハイテンションラバーの弾みを兼ね備えたラバーであり、台上技術やカウンター性能にも優れています。

ディグニクス09C(バタフライ)
ディグニクス09C(バタフライ)

ディグニクス09Cは、2020年4月に発売されたバタフライのハイエンドラバーです。現在では国内外の多くのトッププレーヤーが使用しており、高い回転性能と安定したカウンター性能を兼ね備えたラバーとして高く評価されています。

チウ・ダン選手のように、台上技術を重視しながらラリーをコントロールするプレースタイルとも相性が良く、安定感のある裏面打法を支える重要な用具の一つと言えるでしょう。

チウ・ダン選手と同じラバーを試してみたい方は、以下から最新価格を確認できます。

(3)ラケット重量(推定)

チウ・ダン選手が使用している特注ラケットは市販されておらず、重量も公表されていません。しかし、使用しているラバーが両面ともディグニクス09C(特厚)であることから、おおよその重量を推測することができます。

ディグニクス09C(特厚)は、中国式ペンホルダーラケット全面に貼ると1枚あたり約50gとなります。両面に貼ればラバーだけで約100gとなり、さらにアリレート カーボン素材を採用したラケット本体の重量を加味すると、総重量は185~190g前後ではないかと推測されます。

この重量は、一般的な中国式ペンホルダーとしては比較的重めの部類に入ります。しかし、実際のプレーを見ると重量を感じさせないほどラケット操作が滑らかで、フォアハンドと裏面打法の切り替えも非常にスムーズです。特に、前陣でのカウンターや台上技術においてラケットを自在に操っており、高い技術力を感じさせます。

4.グリップ

(1)ラケット表面(親指・人差し指)

卓球 チウ・ダン選手のグリップ(表面)を再現
チウ・ダン選手のグリップ(表面)※著者による再現

チウ・ダン選手のグリップで最も特徴的なのは、親指をグリップ深くまで差し込んでいることです。また、人差し指はラケット面ではなく、グリップの柄の部分に沿わせるように添えています。

このグリップは、中国式ペンホルダー特有の裏面打法が非常に打ちやすくなるという大きなメリットがあります。ラケット面を安定して固定できるため、裏面ドライブや裏面カウンターの威力・安定性の向上につながるグリップと言えるでしょう。

その一方で、ペンホルダーラケット表面を使用するバックハンド技術である「ショート打法」は、ラケット角度を作りにくくなるため、非常に打ちにくくなるというデメリットがあります。

しかし、チウ・ダン選手は試合中にショート打法をほとんど使用せず、バックハンドは裏面打法で対応しています。そのため、このグリップのデメリットはほとんど問題にならず、裏面打法のメリットを最大限に生かした合理的なグリップと言えるでしょう。

(2)ラケット裏面(中指・薬指・小指)

卓球 チウダン選手のグリップ(裏面)を再現
チウ・ダン選手のグリップ(裏面)※著者による再現

ラケット裏面については、中指・薬指・小指の3本でラケットを支えるオーソドックスなグリップとなっています。特に、中指を支点としてラケット裏面をしっかり支えるスタイルが特徴です。

表面側は親指を深く差し込んだ特徴的なグリップですが、裏面側は比較的標準的な握り方と言えます。このグリップにより、フォアハンドから裏面打法への切り替えがスムーズになり、チウ・ダン選手の安定した両ハンドプレーを支えているものと思われます。

なお、チウ・ダン選手のグリップについては、バタフライ公式ホームページのデジタルコンテンツ「強者のグリップ ダン・チウ」で詳しく紹介されています。今回の記事ではプレー動画をもとに筆者なりの分析も加えています。

強者のグリップ ダン・チウ|卓球レポート
「強者のグリップ ダン・チウ」の記事詳細。強くなるためのポイントが満載の卓球情報サイト「卓球レポート」の公式サイトです。世界卓球や全日本卓球などの速報も配信しています。

5.サーブの特徴

今回は、2026年8月に開催された「WTTチャンピオンズ横浜2026」男子シングルス2回戦における、チウ・ダン選手 vs カナク・ジャー選手の試合を分析対象としました。

なお、サーブ分析ではサーブの種類や長さもカウントしていますが、テレビ中継の映像だけでは下回転系とナックル系の判別が難しい場面もありました。そのため、一部については筆者の判断によるものであり、必ずしも正確な集計ではないことをご容赦ください。

また、チウ・ダン選手のサーブは非常にオーソドックスなフォームですが、インパクト直前のスイングスピードが非常に速いため、スイングだけで回転の種類を見極めることは容易ではありませんでした。そのような点も踏まえながら、サーブの傾向を分析していきます。

(1)サーブの種類

まず、チウ・ダン選手のサーブの種類について分析してみました。

今回の試合では、すべてフォアハンドサーブを使用しており、サーブを出す位置もすべてバックサイドからでした。バックハンドサーブやフォアサイドからのサーブは一度も使用しておらず、オーソドックスなサービスから試合を組み立てていたことが分かります。

別の試合では、サーブを台の中央付近から出す場合もあるので、試合の状況や相手に応じて変えているだと思われます。

なお、サーブの構成や使用割合は、対戦相手のプレースタイルや戦術、さらには試合中のサーブの有効性によって変化します。そのため、本分析結果はカナク・ジャー戦における一例としてご覧ください。

卓球 チウ・ダン選手のサーブの種類と割合の変化を分析したインフォグラフィック

インフォグラフィックのとおり、サーブ全体では下回転系とナックル系がそれぞれ15回と同数でした。しかし、セットごとの内訳を見ると、第1セット、第2セットは下回転系サーブを主体としていたのに対し、第3セットではナックル系サーブの割合が逆転しています。

このことから、チウ・ダン選手は試合の流れや相手のレシーブ状況を見極めながら、ナックル系サーブの有効性を判断し、試合中に配球を修正した可能性が考えられます。サーブそのものは派手ではありませんが、状況に応じて配球を変化させる冷静な試合運びは、チウ・ダン選手らしい特徴の一つと言えるでしょう。

(2)配球(コース・長さ)の特徴

続いて、サーブの長さとコースについて分析しました。

チウ・ダン選手はショートサーブを主体に試合を組み立てていますが、セットごとにサーブの長さやコースを細かく変化させていました。

卓球 チウ・ダン選手のサーブの配球の分析

第1・第2セットはショートサーブが大半を占めており、特にフォア前へのショートサーブを多用していました。一方、第3セットではショートサーブを減らし、フォア前へのハーフロングサーブを3本使用しています。いずれも2バウンド目が台から出るか出ないかという絶妙な長さであり、第1・第2セットとは異なる配球で相手に変化を与えていました。

また、ロングサーブは4本のみでしたが、すべて相手バック側へのナックル系ロングサーブでした。ロングサーブからの得点率は100%でしたが、サービスエースや3球目で一気に決めることを狙うのではなく、相手に質の低いレシーブをさせ、ラリーを優位に進めることを目的としているように見受けられました。

6.レシーブの特徴

続いて、チウ・ダン選手のレシーブについて分析していきます。

5章のサーブ分析と同様に、2026年8月に開催された「WTTチャンピオンズ横浜2026」男子シングルス2回戦、チウ・ダン選手 vs カナク・ジャー選手の試合を対象として、レシーブの種類や配球を集計しました。

なお、レシーブの選択や使用割合は、相手選手のサーブの回転やコース、試合展開によって大きく変化します。そのため、本分析結果はカナク・ジャー選手との試合における一例としてご覧ください。

(1)レシーブの内訳

まず、チウ・ダン選手がどのようなレシーブを選択していたのかを集計しました。

卓球 チウ・ダン選手のレシーブの内訳

図のとおり、最も多かったのはストップレシーブであり、全3セットを通じて積極的に使用していました。一方、ツッツキやチキータも適度に織り交ぜていますが、いずれか一つの技術に偏ることなく、状況に応じて使い分けていることが分かります。

また、チウ・ダン選手はフリックレシーブにも優れた選手ですが、この試合では一度もフリックレシーブを使用しませんでした。相手のショートサーブが少しでも浮けば積極的にフリックを狙う場合もありますが、カナク・ジャー選手のサーブは低くコントロールされており、無理に攻撃へ転じる場面は見られませんでした。

レシーブでも無理に攻撃を仕掛けるのではなく、まずは確実に台上で主導権を握ることを優先しており、ここにも堅実で「いぶし銀」なプレースタイルが表れていました。

(2)ストップとツッツキの使い分け

チウ・ダン選手の台上技術で最も印象的だったのは、最後の瞬間までレシーブの種類を相手に読ませないことです。

基本的にはストップレシーブを多用しますが、同じフォームからストップ・ツッツキ・フリックのいずれも繰り出すことができるため、相手は最後までどのレシーブが飛んでくるのか判断することができません。非常に玄人好みの、高度な台上技術と言えるでしょう。

特にストップを警戒して台との距離を詰めすぎると、今度はフリックやエンドライン際を狙った深いツッツキが飛んできます。相手は前後に揺さぶられ続けるため、常に神経を使いながらレシーブ後の準備をしなければなりません。

派手な一撃で得点を奪う技術ではありませんが、このように相手の立ち位置や心理を利用して主導権を握る台上技術こそ、チウ・ダン選手の大きな武器です。ストップとツッツキを巧みに使い分けることで相手を動かし、その後のラリーを有利に展開していました。

(3)チキータレシーブは意外と少ない

裏面打法の名手でありながら、チウ・ダン選手はチキータレシーブを多用するタイプではありません。レシーブ全体に占める割合も図のとおり非常に低く、台上ではストップやツッツキを主体に試合を組み立てていました。

また、近年のトップ選手によく見られるような、フォアサイドへ回り込んでチキータレシーブを放つ場面は、この試合では一度も見られませんでした。

チキータレシーブを使用したのは、主にバックサイドへ出された横下回転系のハーフロングサーブに対する場面であり、明らかにチキータが有効な状況に限定して選択している印象を受けました。

無理な体勢から強引に攻撃するのではなく、状況に応じて最適なレシーブを選択することを重視している点は、チウ・ダン選手らしい特徴と言えるでしょう。

高い台上技術への自信があるからこそ、必要以上にチキータへ頼らず、堅実なレシーブからラリーの主導権を握るスタイルを貫いていました。

7.なぜチウ・ダン選手は教科書的プレーヤーなのか?

ここまで、チウ・ダン選手のグリップや使用用具、サーブ、レシーブなどを詳しく分析してきました。その内容をまとめると、チウ・ダン選手が「裏面打法を駆使する教科書的プレーヤー」と言われる理由は、大きく次の4点に集約されると考えています。

卓球 チウ・ダン選手が教科書的プレーヤーである4つの理由

チウ・ダン選手は、派手な一発で試合を決めるタイプの選手ではありません。世界トップレベルの台上技術を軸に、冷静な試合運び、裏面打法を生かした両ハンドプレー、そして優れた判断力とポジショニングを組み合わせることで、常にラリーの主導権を握っています。

今回分析したカナク・ジャー選手との試合でも、相手の状況に応じてサーブの種類や長さを変化させ、レシーブではストップやツッツキを巧みに使い分けながら試合をコントロールしていました。強引な攻撃に頼ることなく、一球一球を積み重ねて勝利へ導く姿は、多くのペンホルダー選手にとって参考になるプレースタイルと言えるでしょう。

コラム:左腕(二の腕)に巻いているものは?

チウ・ダン選手の試合写真を見ると、左腕の二の腕あたりに黒いバンドを装着していることがあります。また、今回分析した試合では、対戦相手のカナク・ジャー選手も腕に同様の黒いバンドを装着していました。

サポーターやテーピングのようにも見えますが、実際に何を装着しているのかは確認できませんでした。

そこで気になって調べてみると、スポーツ選手が上腕や前腕に装着して心拍数を測定する「光学式心拍センサー」という製品があることが分かりました。

例えば、Polarの「Verity Sense」は、腕に装着して心拍数を計測できる小型のセンサーです。

もちろん、チウ・ダン選手カナクジャー選手がこれを使用しているという意味ではありません。あくまで「こういう製品もあるんだ」という話です。

トップアスリートの装備に興味がある方や、自分のトレーニング中の心拍数を記録してみたい方は、チェックしてみても面白いかもしれません。

8.おわりに

チウ・ダン選手は、派手なスーパープレーで観客を魅了するタイプの選手ではありません。

しかし、台上技術、レシーブ、裏面打法によるカウンターなど、世界トップレベルの基本技術を極めて高い精度で積み重ね、相手を少しずつ追い詰めていく「教科書」のようなプレースタイルこそが最大の魅力です。

私自身、チウ・ダン選手の試合を見た後に実際にプレーすると、「無理に攻撃する必要はない」「まずは台上技術で主導権を握ることが大切」ということを改めて実感します。ツッツキやストップの重要性を再認識できるため、無理打ちが減り、以前よりも落ち着いてプレーできるようになったと感じています。

派手なプレーは少ないものの、卓球を実際にプレーしている目線で注意深く試合を見ていくと、参考になる技術や考え方が数多く詰まっています。中国式ペンホルダーや裏面打法を学んでいる方はもちろん、台上技術や試合運びをレベルアップしたい方にも、ぜひ一度プレーをじっくり観察していただきたい選手です。

チウ・ダン選手の試合は、一度目は試合全体を、二度目は台上技術や配球だけに注目して見ると、新たな発見があるはずです。

動画はこちらです。ぜひ分析結果と照らし合わせながらご覧ください。

【関連記事】

もう一人の裏面打法を駆使するトッププレーヤー「フェリックス・ルブラン選手」

裏面打法を駆使するトッププレーヤーについて

中国式ペン軽いラケットランキングについて

コメント

PVランキングも参加しています!

PVアクセスランキング にほんブログ村

タイトルとURLをコピーしました